【前編】凛「キャスター?ハズレじゃない!」ちょびひげ「あ、そう。」

    



169:>>ID変わりましたが、1です:2015/10/08(木) 19:48:36 ID:gBks7Dc2

士郎「すまん、遠坂。今日は何かあると思って学校に助けに来たんだ」

凛「とりあえず、家に戻ったら説教だから。今、ライダーを倒した相手をこいつから聞き出してるの」

士郎「慎二がマスターなのか?」

凛「ええ、そうよ。魔術師になれないくせに、こいつは何をしてるのかしらね」

慎二が激怒して、大声で叫ぶ。
何を言ってるのか聞き取れないが、侮辱に対して反応しているのは分かった。

男「いい加減にしなさい、凛。相手の立場を尊重するべきです。」

男「慎二君、と言いましたか。何がありましたか。」

アーチャーが屈んで、目線を間桐慎二と合わせる。
半狂乱になっていた慎二だが、アーチャーに声をかけられると、驚くほど静かになった。
そして、ポツポツと語り出す。

慎二「僕は、確かに魔術師としての才能はない。それで、爺様には毎日嫌味を言われた」

慎二「今回の戦争に勝てば、魔術師として認められると思ったんだ」

慎二「でも、召喚されたサーヴァントは役に立たない上に、すぐに敗北した」

慎二「あんな雑魚で戦えって言われても、どうしようもないだろ!?」 



170:>>ID変わりましたが、1です:2015/10/08(木) 19:49:30 ID:gBks7Dc2

男『ああ、そうですか。』

男『貴方は、最善を尽くしました。それは不本意な結果に終わったかもしれませんが――』

男『――どうか、自らを責めないでください。』

慎二「あ」

慎二が声にならない声を上げる。
短いやり取りの中で、彼の心は、確かに浄化されていた。
間桐家で魔術師として失望され、暴言を吐かれ続け、不必要となった存在。

彼の苦い人生が、終わりを迎える時が来た。

慎二「御言葉、ありがとうございます。」

慎二が深く頭を垂れる。
傍若無人であり、同級生を犠牲にしてでも事を成そうとした面影はない。
一体どんな心境の変化があったのか、彼とアーチャー以外は誰も把握してはいなかった。

男「誰が、やりましたか。」

慎二「葛木宗一郎という教師です」

男「そうですか、ありがとう。」 



171:>>ID変わりましたが、1です:2015/10/08(木) 19:50:17 ID:gBks7Dc2

慎二が深々と再び頭を下げる。
ごめんなさい、ごめんなさいと呟き続ける彼の頭を柔らかく叩くと、
アーチャーは部屋からの退出を促した。

慎二がふらつきながら出て行く姿を、皆が呆気にとられた様子で見送る。

凛「あなた・・・一体どんな洗脳魔術を使ったの?」

男「いえいえ、ああいう人間は意外と根が深いですからね。」

答えになっていないが、なんとなく凛は納得した様子だ。

凛「とりあえず、救急車を呼びましょうか。事情は後で聞くけど、とりあえずここを離れるわよ。」

士郎「分かったよ、遠坂。」

学校の電話を借りて、士郎が通報する。
倒れた学生を後においていくのは心が引けたが、命に別状はないと言われて士郎は安堵した。
作動してすぐ、ライダーは倒されていたらしい。

凛(ライダーを倒したのは、葛木宗一郎。本当かしら・・・)

帰途に付く間、作戦を立て直す。
想定とは違ったが、少なくとも良い方向に転がり始めたのは、間違いなかった。 



176:>>ID変わりましたが、1です:2015/10/09(金) 07:15:11 ID:CFyFser.

衛宮邸(夕)

凛「わかった?次から私の言うことはきちんと聞きなさい?死にたくなかったらね」

士郎「だから、反省してるって言ってるだろう、遠坂」

凛「どうだか。貴方みたいな頭の悪い人間には、何遍も同じことを言わないと駄目よ」

士郎がうんざりとした顔でアーチャーに助けを求める。
アーチャーは首をふった。
凛の猛攻に、巻き込まれたくはない。

セイバー「ところで、凛。葛木宗一郎が、柳洞寺にいるのは間違いないのですか?」

凛「間違いないってわけじゃないけど、可能性は高いわね」

凛「あいつが寺に入っていくのは見かけたし、柳洞寺にはサーヴァントがいる。たぶんキャスターね」

凛「とにかく、キャスターがライダーを潰してくれたのは、こちらにとっては好都合よ」

男「結局、同盟は杞憂だったということですね」

凛「そうね。唯一まずかったことは、私と士郎の同盟関係が相手に露呈したことだけよ」

ジロリと士郎を睨む。
士郎といえば、知らないふりをして料理に勤しんでいた。 



177:>>ID変わりましたが、1です:2015/10/09(金) 07:16:05 ID:CFyFser.

凛「忘れてたら困るけど、同盟はバーサーカーを倒すまでよ」

凛「バーサーカーを倒せば、貴方達とは敵同士なんだから!」

凛がご親切にも忠告している。

アーチャーが少し考える。
士郎には、聖杯にかける望みはない。
ただ、去年の火災の原因が聖杯戦争であれば止めねばならない、と考えているようだ。

アーチャー自身にも願いはない。
セイバーは、どうかわからない。恐らく、願いは無いのだろう。

凛は、力を示せば十分だ。

男(とんだ茶番戦争ですね。誰も闘う理由は無い、ということですか・・・)

凛「とにかく、今日はバーサーカー戦の計画を練るわよ」

凛「ああ、士郎は魔術訓練をしておきなさい。今は少しでも戦力が欲しいから」

士郎「分かったよ、遠坂。話も大切だけど、全員飯だぞ。」

ご飯と聞いて、セイバーがいそいそと席に着く。
アーチャーは、料理を運ぶのを手伝った。
全員が席につくと、食事の始まりだ。
「「「「いただきます」」」」 



178:>>ID変わりましたが、1です:2015/10/09(金) 07:16:42 ID:CFyFser.

戦争とは関係のない話をダラダラとする。
戦士に休息は不可欠だ。

士郎「こういうふうに食事を囲む日も、もうすぐ終わりだな」
士郎が、そうポツリとつぶやいていたのが印象的だった。 



179:>>ID変わりましたが、1です:2015/10/09(金) 07:17:21 ID:CFyFser.

衛宮邸(夜)

セイバーは、やはり体調が良くないのか、すぐ部屋に戻って眠っていた。
士郎は、土蔵にこもって訓練の最中である。

凛「今の敵は、ランサー、キャスター、アサシン。そして、バーサーカーね」

凛「キャスターは、柳洞寺で葛木を操っている可能性が高い」

凛「バーサーカーは、アインツベルン城にいるんでしょうけど・・・詳細は不明ね」

凛「ランサー、アサシンは消息不明」

男「目下のところ、バーサーカーに勝てそうな陣営は我々だけですね。」

凛「そうね。状況は圧倒的に不利よ。たぶん、イリヤは静観してるんじゃないかしら」

凛「ライダーが倒れた以上、そろそろ動いてくる可能性もあるわね」

男「いよいよ、聖杯戦争が本格的に動き始めたということでしょうか」

凛「そうね。今回は、たぶん短期決戦になるわよ」 



180:>>ID変わりましたが、1です:2015/10/09(金) 07:19:13 ID:CFyFser.

凛「バーサーカーは、一気に全陣営を片付けるだけの戦力を持っている」

凛「バーサーカーが、途中で倒れたら、最も戦力を温存した陣営の勝利が確定よ」

男「なるほど、良くも悪くもバーサーカー次第になりますね。」

凛「そういうこと」

凛「バーサーカー戦は、私が準備しておくから、アーチャーは屋敷の守りを固めておいて」

男「もはや、できることはほとんどありませんが・・・ わかりました。」

二人の話が終わる。
凛が居間から出ようとした所を、士郎に引き止められた。

士郎「見てくれよ、遠坂!」

士郎の手には、投影された剣が握られている。
土蔵の奥にあった刀を、投影したらしい。 



181:>>ID変わりましたが、1です:2015/10/09(金) 07:19:51 ID:CFyFser.

凛「やったじゃない。何かコツでもあったの?」

士郎「剣を一から作ろうとしても上手くいかなかったんだ」

士郎「でも、剣そのものを再現しようとしたら、流れるように上手くいった」

凛「あら、上手く行って何よりね。コツを忘れないように、何度も練習したほうが良いわよ」

士郎「わかったよ、遠坂。今日は頑張ろうと思う」

凛「ほどほどにね」

凛があくびを一つする。
今日は長い一日だった。
「おやすみ、士郎、アーチャー」

「おやすみ」
「おやすみなさい。」

凛が寝床へと向かう。
アーチャーは、複雑な呪文を二つほど追加しようと庭へ向かう。
士郎は、土蔵へと向かった。今日は夜通し練習だ。 



182:>>ID変わりましたが、1です:2015/10/09(金) 07:21:47 ID:CFyFser.

衛宮邸(深夜)

男「・・・?」

アーチャーは天井に上り、見張りという名の天体観測をしていた。
土蔵から、士郎が出てくる。
今日はこれで店じまいをするらしい――

と思ったが、門を開けて、外へと出て行った。

男(おや。こんな時に、何か用事でもあったのでしょうか)

アーチャーが士郎の後をつける。
士郎は、暗闇の中を危なげない足取りで進んでいく。
それは、どうやら柳洞寺の方へ向かっているらしかった。

男(・・・怪しいことになっていますね)

アーチャーは油断せず後をつけていく。
キャスターは、ライダーと交戦してそれなりに消耗しているはずだ。
だとすれば、これは――

男(誰の仕業か、突き止めねばなりません)

士郎は、彼のマスターではない。今ここで、術を解く必要はない。
冷徹な判断だが、それでも彼は、自身のマスターの身の安全を再優先とした。 



183:>>ID変わりましたが、1です:2015/10/09(金) 07:22:27 ID:CFyFser.

これは、きっと夢だ。

おぼつかない足取りで指示に従う。

こっちに来なさい、こっちに来なさい。

柔らかい声が頭に響く。

声の正体をかんがえようとしたが、とちゅうでやめた。

かんがえるだけ、むだなことだ。

これはゆめだから

こっちにきなさい こっちにきなさい こっちにきなさい

もうなにもかんがえられない

あしをうごかす

みぎ ひだり みぎ ひだり






そして――

衛宮士郎は夢から醒める。 



184:>>ID変わりましたが、1です:2015/10/09(金) 07:28:01 ID:CFyFser.

男「!?」

男が士郎を追って柳洞寺の階段を登ろうとした瞬間、悪寒がした。
これは、きっと不味いことが起きる。もちろん、根拠はない。

近接戦に最も強い英霊を召喚する。

坂本「今日は、えらい忙しいぜよ」

アーチャーは、飛び道具にまつわる者しか、呼び出すことはできない。
銃で戦う人間が多いため、英霊レベルの近接戦闘には不向きなのがほとんどだ。
その中にあって、銃の逸話がありながらも剣が一流の、この男を少なからず信頼していた。

男「気をつけていきましょう。何がくるのか、わかりませんよ。」

慎重に石段を登っていく。
そろそろ山門へ辿り着く、という時に上から声が降ってきた。 



185:>>ID変わりましたが、1です:2015/10/09(金) 07:28:56 ID:CFyFser.

「すまぬな、お客人。ここから先は、通すわけには参らぬ」

石段の上に、よくは見えないが、人影があった。
龍馬がそれに声をかける。

坂本「おんしゃあ誰なが?」

佐々木「アサシンのサーヴァント、佐々木小次郎」

坂本「あっしは坂本龍馬やか」

佐々木「そちらは名乗るつもりはない、と」

男「色々と事情がありまして、そういうわけには参りません。」

男「無礼をお許し下さい。」

佐々木「いや、構わんよ。お主は、それほど剣術には長けておらぬだろう」

アサシンが、アーチャーの隣にいる男を眺める。
剣術をある程度鍛えたものならば、佇まいでそれなりに実力が伝わるものだ。 



186:>>ID変わりましたが、1です:2015/10/09(金) 07:29:36 ID:CFyFser.

佐々木「互いに名乗りは済ませた―― では、果たし合おうぞ」

佐々木小次郎と名乗る男が、極端に長い剣を抜く。

坂本「物干竿ちゅうのはまっことじゃったか」

龍馬が一気に間合いを詰めると、三合ほど打ち合う。
僅かな間にも、攻守がめまぐるしく入れ替わっているのが見えた。
しかし、アーチャーはこれをのんびり眺める余裕はない。

男(では、脇を失礼するとしましょう)

互いの剣に無我夢中だ。
アサシンがアーチャーを斬るのは簡単だが、それでは決闘にケチがつく。

アーチャーが山門へと駆け上がり、とうとう柳洞寺に侵入した。 



187:>>ID変わりましたが、1です:2015/10/09(金) 19:59:31 ID:CFyFser.

男(これは・・・もはや神殿というのが相応しいでしょうね)

柳洞寺の結界は、あくまで外に対する防御だ。
中に入ってさえしまえば、それはサーヴァントにとっては居心地の良い結界だ。

キャスター「あら、外の門番は何をしているのかしら」

キャスターがアーチャーに声をかける。
その手には、衛宮士郎が横たわっていた。

男「アサシンなら、私の仲間と戦っています。良い剣士のようですね。」

キャスター「ここを通さないのが、あれの役目よ。やっぱり、口先だけで役に立たないわね」

キャスターが、士郎を引き寄せる。
複雑な形をした刀を首に押し付けた。
どうやら、動けば命はないということらしい。

男「その男を、人質として考えているなら無駄ですよ。」

男「彼は、私のマスターでも何でもありませんから。」

キャスター「あら、そうなの。では、これでも喰らいなさい・・・!」 



188:>>ID変わりましたが、1です:2015/10/09(金) 20:01:13 ID:CFyFser.

キャスターから魔弾が放たれる。
威力は凛のガンドの比ではない。
しかし、アーチャーは微動だにしなかった。

キャスター「無傷ですって・・・?」

もう一度、威力と量を上げて放つ。
爆音が響き、土煙が立ち込める。
しかし、その中にあって、アーチャーは余裕の表情だ。

男「魔力の消費は無駄です。話があります、キャスター。」

キャスター「聞く耳もたないわ。そんな顔、いつまでしていられるかしら」

キャスターが呪文を呟くが、アーチャーは何ら抵抗しない。
そのまま、魔術を直接喰らった。

キャスター「どう、アーチャー。空間が固定化された気分は」

キャスター「さすがの貴方も動けないみたいね。次は無事では済まないわよ!」

キャスターが魔術を360度に展開する。
魔法陣がアーチャーの周囲に広がり、ありったけの攻撃が放たれた。
魔弾のみなら、最大出力の攻撃だ。

キャスター(いない!?) 



189:>>ID変わりましたが、1です:2015/10/09(金) 20:02:11 ID:CFyFser.

キャスターは自身の目を疑った。
サーヴァントを消滅させた手応えはない。
しかし、固定化したはずの空間から、アーチャーだけが忽然と消え失せていた。

後ろから、肩を叩かれる。
ゆっくりと振り向くと、アーチャーがにっこり笑って控えていた。

男「話があります、キャスター。」

キャスターがため息をつく。完敗のようだ。

キャスター「なにかしら、アーチャー。つまらない話だったら潰すわよ」

男「単純な話です。我々は、バーサーカーの対策を考えています。」

キャスター「それで?」

男「貴方と同盟を組んで、バーサーカーに対抗したいと思います。」

キャスターが考えるそぶりをする。
その時、暫く前からモゾモゾと動いていた士郎が話かけてきた。

士郎「ここは・・・?」

男「おはよう、士郎。どうやら、キャスターに一杯食わされたようですよ。」

士郎が眠たげな顔をする。話を理解している様子はない。
恐らく、キャスターの魔術から覚醒しきってはいないのだろう。 



190:>>ID変わりましたが、1です:2015/10/09(金) 20:02:53 ID:CFyFser.

男「早く決めてください、キャスター。のんびりしていると、セイバーが来ます。」

男「話をまとめなければ、貴方を倒すため、彼女に手を貸さなければなりません。」

キャスター「脅しのような交渉ね。わかったわ、のってあげる」

キャスター「坊やはお返しするわ」

男「賢い選択です。」

セイバー「シロウ!!」

セイバーが階段を駆け上がって、山門に立ち塞がる。
剣を構え直すと、一気にキャスターに突進してきた。
キャスターが魔術を放つ前に、兵士が展開される。

セイバー「これはどういうつもりです、アーチャー!」

男「士郎なら、無事帰してもらえるようです。事情は後で説明します。」

男「撤退です、セイバー。」 



191:>>ID変わりましたが、1です:2015/10/09(金) 20:04:04 ID:CFyFser.

セイバーが不満そうな顔をする。
しかし、事情が分からない以上、しぶしぶ話に従った。
セイバーが士郎を支えて、柳洞寺の門をくぐる。

アーチャーが門の脇にいる、アサシンに声をかけた。

男「彼は強かったでしょう。本人も満足のいく最期を迎えられました。」

男「彼に代わって、礼を言わせていただきます。ありがとうございました。」

アサシン「なに、礼を言わねばならぬのは此方だ」

柄のみになった得物を見せる。

アサシン「剣に捧げたこの生涯だが、最初で最後に斬った相手があれならば――
     
アサシン ――まあ、刀も満足であったろうよ」

アーチャー共々、階段を降りていく。
夜の闇に、三人は吸い込まれていった。 



192:>>ID変わりましたが、1です:2015/10/09(金) 20:05:28 ID:CFyFser.

Interlude3

坂本「でりゃあああっ!」

一気呵成に踏み込む。物干し竿は、極端に刀身の長い刀だ。
間合いを詰めないことには、勝負にすらならない。

しかし、刀がうまく逸らされる。
間合いを詰めようとしても、アサシンがそれを許さない。
中距離の打ち合いは、流石に分が悪すぎる。

龍馬は大きく下がった。

アサシン「ほう。何か秘策があると見たが、如何に」

坂本「答え合わせぜよ!」

懐から銃を抜く。
アサシンが驚愕の色を見せた。少なくとも、一流の剣士のすることではない。

今度はアサシンから一気に距離を詰める。
それを見越していたかのように、再び刀を手に取り、踏み込んできた。

アサシン「・・・ッ!」

初めて、龍馬の剣が届く距離まで詰められる。
何合か斬り結ぶ。窮屈そうなアサシンではあるが、完璧に攻撃をいなしていた。
2,3歩下がり間合いを取ろうとするが、龍馬の剣はそれを許さない。

気がつけば、元の石段にまで戻ってきていた。 



193:>>ID変わりましたが、1です:2015/10/09(金) 20:06:47 ID:CFyFser.

防御が比較的難しい、手元をしつこく狙ってくる。
二段打ち、三段打ちは当たり前のようにやってくる。それらを最小限の労力で躱す。
龍馬が呼吸を置いた時、アサシンが一気に反撃した。

アサシンが力任せに鍔を押し、斬り様に下がる。
一つ一つの動きは直線的だが、全体を見ると円を描いているような剣筋と錯覚する。
少しでも処理を誤れば、三枚おろしの完成だ。

坂本「まっこときついちゃー!」

それでも、発声するだけの余裕はあるようだ。
アサシンの攻撃は途切れないが、間合いが少しずつ近づいていく。
力は互角。剣技はアサシンが格上だ。

ならば―― 根性で喰らいついていくしか無い。

さらにアサシンの速さが増す。
もはや、常人の目では追いつくことは不可能だ。
ギリギリ全てをいなし、間合いから離脱する。銃を抜く隙はない。

一呼吸おいて、龍馬が仕掛けようとした時、アサシンが言葉を告げる。

アサシン「先ほどの剣で斬れぬのであれば、長々とした戦いになろう」

アサシン「緊張の糸が切れて勝負が決まるのは、つまらぬとは思わぬか」 



194:>>ID変わりましたが、1です:2015/10/09(金) 20:07:30 ID:CFyFser.

龍馬は返事をしない。
彼の目的は、あくまでも主を守るために時間をかせぐことだ。

アサシン「坂本、といったか。この国の出身ならば、我が剣技はよく知っていよう」

アサシンが構えを取る。
一見、隙だらけだが、その分不気味だ。
龍馬は銃を抜くのを諦めた。恐らく、剣でしか打ち破ることは不可能だ。

上にアサシン。下に龍馬。間合いは、階段8段程度か。

睨み合う。
時間の感覚は既にない。

静寂が訪れる。

殺気を感じているのか、虫の声すらない。

あるのは、二人の息遣いのみ。

アサシンが僅かに動いた。
龍馬が、再び踏み込む。

佐々木小次郎、一世一代の大技が放たれた。 



195:>>ID変わりましたが、1です:2015/10/09(金) 20:08:53 ID:CFyFser.

アサシン「秘剣――― 燕返し」

三方向から全く同時に斬撃が襲う。龍馬に躱す術はない。

むしろ、彼は躱そうとはしなかった。
動かぬ一点を狙い、無我夢中で、斬る。
耳に自らの身体が斬れる音が響く。痛みはない。

二人がすれ違う。

ちん、と刀が落ちる音がした。そのままそれが石段を転げる音が響く。

遅れて、血が噴き出る。目は見えなくなった。
それでも、自身が刀を握り続けている感覚は、きちんと伝わってきた。

神経は当に切れている。その感覚すら、幻影かもしれない。

しかし、龍馬は確信して遺言を残す。

坂本「刀は武士の魂ぜよ。おまんとは、引き分けちゃ」

斬られた龍馬が両膝をつく。そのまま、階段に寝そべった。

坂本「まっこと、しょうえい最期で・・・

言葉を終える前に、坂本龍馬が消滅する。
アサシンは手元の柄のみになった刀を見つめた。

アサシン「この身は武士ではないが―― それを言うのは、無粋というものか」 



196:>>ID変わりましたが、1です:2015/10/09(金) 20:09:29 ID:CFyFser.

アサシンが一人呟く。
最後の最後で、油断があったのかもしれない。
剣を狙う剣は防ぎようがないが、その行為に意味がないと踏んでいたのは自身の驕りだ。

アサシン「一念鬼神に通じる、とはよく言ったものよ」

アサシン「主への忠義、しかと受け取った」

風がそよぐ。
徒手空拳となった剣士は、それを止めることはしなかった。 



197:>>ID変わりましたが、1です:2015/10/10(土) 08:03:22 ID:ck9jy5uw

**************************
凛は周囲を見渡す。

そこは、一面の焦土。

地平線が見える。
その土地には、何もない。

凛(ここは、一体・・・?)

それは、アーチャーの記憶。夢の風景だ。
以前見たものとは打って違って、なんとも殺風景な光景だ。

凛がよくよく目を凝らすと、人がちらほらいるのが見えた。
一様にやつれ、感情を示さない人間が、ひたすら畑を耕している。

まるで、機械か何かだ。
生きることに意味はない。
空っぽになった人間が、ただ生きている。それだけだ。

凛は恐怖した。
この土地には、何もない以上に、何もないのだから。 



198:>>ID変わりましたが、1です:2015/10/10(土) 08:04:29 ID:ck9jy5uw

***************************
少し時間が飛んだ。
周りの風景が回転する。
焦土だった土地は、建物がちらほら立っていた。どれも、吹けば飛びそうな代物だ。

砂利で作られた沿道には、多くの人が詰めかけている。

凛(あれは、何かしら?)
人々に合わせて、沿道に並ぶ。

遠くから車が来る。そこから、大きな歓声が上がった。
何もかも全てを失い、感情を捨てていた人々。
機械でしかなかった彼らが、感情を取り戻した。

落涙しながら、歓喜に震えて叫ぶ。
万歳。万歳。万歳、と。 



199:>>ID変わりましたが、1です:2015/10/10(土) 08:05:10 ID:ck9jy5uw

車から人が降りる。歓声は一段と大きくなり、そして静まり返った。
どうやら、中心にいる人物が、彼らの話を聞いているらしい。

『あ、そう。』

聴き馴染んだ声が、遠くから響いた。
不思議と、よく通る声だ。
どこからかすすり泣きが、聞こえる。

虚ろな人間は、もうどこにもいない。

そこには、人がいる暖かさが戻っていた。 



200:>>ID変わりましたが、1です:2015/10/10(土) 08:06:58 ID:ck9jy5uw

****************************
さらに時間が飛ぶ。
小屋のような建物は、高層建築物に姿を変えていた。
摩天楼、というのが正しい表現だろうか。

同じ土地とは思えなかったが、凛は確かに、ここがあの焦土だと確信していた。

凛(これは、アーチャーの記憶)

凛(一体、何を表しているのかしら・・・)

凛の疑問は、当然だ。
それは、あまりにありふれた光景だったのだ。

行き交う人々に、あの日の絶望はない。
忙しそうに文句を言いながらも、自分の人生をそれなりに謳歌している。

ラジオが街に流れる。
「・・・慢性膵臓炎との診断を受け、史上初めて開腹手術を受けることとなり・・・」

慌ただしく、人々は流れている。
あの焦土は、まるでなかったかのように。
彼の存在も、まるで大して重要なものではなかったかのように。 



201:>>ID変わりましたが、1です:2015/10/10(土) 08:08:49 ID:ck9jy5uw

時は流れる。
彼の名を冠した時代は、過去の記憶となった。

そして、何もない、平穏な国が成る。

このありふれた光景こそが、彼の願い、なのかもしれない――

どこにでもある、そんな夢の町並みを眺めながら、凛は、そう解釈した。 



202:>>ID変わりましたが、1です:2015/10/10(土) 08:10:49 ID:ck9jy5uw

衛宮邸(朝)

翌朝、凛の叫び声が衛宮邸に響き渡った。

凛「キャスターの術中に嵌った上に、同盟を結んだ!?」

凛「自分が何をしたのか分かってるの?キャスターよ、キャスター」

凛「よりにもよって一番信用出来ない相手と組んでどうするのよ」

男「しかし、士郎が人質に取られてしまった以上、どうしようもないでしょう。」

男「キャスターはアサシンと同盟関係にありました。」

男「バーサーカーと言えども、英霊4人相手では手こずると思いますが・・・」

凛「数は問題じゃないわ。質の問題よ!」

凛「キャスターってのはマスターを裏切ることが一番多いんだから」

凛「ましてや、アサシンと組んでるんでしょ?いつ寝首をかかれるか、分かったもんじゃないわ」

アーチャーが押し黙る。
しかし、あの状況では、他に選択肢は無かったはずだ。 



203:>>ID変わりましたが、1です:2015/10/10(土) 08:11:58 ID:ck9jy5uw

凛「まあ、いいわ。貴方を責めるのはお門違いね」

凛「士郎!」

士郎「だから、謝ってるだろ。安易に術にかかってすまなかった」

凛「そういう意味じゃない!」

凛「だいたい、あんたが学校に行かなければこんなことにはならなかったのよ!」

凛「次からは、ちゃんと私の指示に従うこと。分かった!?」

凛の剣幕に押されて、コクコクと頷く士郎。
実際の所、彼がキャスターを退治したおかげで、随分と楽に学校の件は片付いたのだ。
その点もあって、昨晩はそれほど追求しなかった。

しかし、やはり士郎はマスターとして未熟だ。
そのことを再認識する。 



204:>>ID変わりましたが、1です:2015/10/10(土) 08:13:31 ID:ck9jy5uw

士郎「ところで今日は学校は休みになったらしいぞ、遠坂」

凛「あんなことがあった後じゃ、学校も機能しないでしょ」

士郎「今日はどうするんだ?」

凛「士郎はセイバーの面倒を見てあげなさい。随分と調子が悪そうだから」

凛「あとは、魔術の鍛錬ね。セイバーが満足に動けない分、貴方には強くなってもらわないと」

士郎「わかった」

セイバーは、急いで駆けつけるために、昨晩もそれなりの魔力を消費したようだ。
魔力供給は、相変わらずゼロに近い。
現界していることすら、それなりにきつい状況だろう。

霊体化して、魔力の消費を抑えれば良いのだが、セイバーはそれができない。
生前に世界と契約を結んだためらしかった。

凛(もうひとつやり方があるけど・・・ 正直、そっちは無理そうね)

体液交換を強要して、セイバーに裏切られては元も子もない。
やはり、そちらは慎重に検討すべきだろう。 



205:>>ID変わりましたが、1です:2015/10/10(土) 08:14:16 ID:ck9jy5uw

凛「アーチャー、少し話があるけど良いかしら」

男「なんでしょうか。」

凛「アサシンは、確かに佐々木小次郎と名乗ったのよね」

男「ええ。自らのクラスと一緒に、名乗りを上げました。相当の手練のようです。」

凛「冬木の聖杯戦争は、西洋の魔術が中心となって作り上げてるの」

凛「通常は、西洋にいる英霊しか呼び出せない」

男「私は、東洋の人間ですが。」

凛「そういえば、貴方も変ね。まあそれは置いておくわ」

凛「だから、通常の召喚とは異なる可能性があるの。推論の域を出ないから、危険だけどね」

凛「アサシンは、もしかしたら十分な戦いができないのかもしれないわ」

男「ふむ。」

凛「だってそうでしょ。ライダーとの戦いで、アサシンでなくて一般人の葛木を使った」

凛「少しでも勝算を上げるなら、アサシンを使ったほうが合理的じゃない」 



206:>>ID変わりましたが、1です:2015/10/10(土) 08:15:34 ID:ck9jy5uw

男「だとすると・・・ アサシンは、満足に動けないということですか」

凛「予想に過ぎないけどね。でも、門だけを守らせるアサシンなんて――」

凛「あまりにクラスとかけ離れた運用方法よ」

男「なるほど。では、恐らくキャスターは。」

凛「戦力としてはあまり期待はできないわ」

凛「大凡、私達とバーサーカーが潰し合うのを待っている」

男「そして、現状我々は、切り札であるセイバーをかなり消耗させてしまいました。」

凛「そうね。かなり厳しいけど、やるしかないわ」

凛「何としてでも貴方には生き残ってもらって、キャスターと戦わなくちゃいけないの」

凛「ランサー陣営に動きは無いし、その点が不気味だけどね」

男「今のところ、士郎に頼るしか術はなさそうですね。」

凛「ええ。不本意だけど、バーサーカー戦の後も彼とは同盟関係を続けなくてはならないわ」

男「不本意という割には、どこか嬉しそうですね。」

アーチャーと凛の間に、唐突に沈黙が走る。
どうやら、これは触れてはならない事実だったらしい。 



207:>>ID変わりましたが、1です:2015/10/10(土) 08:16:34 ID:ck9jy5uw

男「では、私は士郎君の様子を見に行って――

凛「待ちなさい、アーチャー。私が嬉しそうってのはどういうことよ!?」

さっさと土蔵へ向かう。
何やら怒鳴られているが、気にすることはない。
後が怖かったが、今の凛を相手にしなければならない恐怖のほうが勝った。


タイミングを測って、士郎に声をかける。

男「士郎、鍛錬はうまく進んでいますか。」

士郎「ああ、アーチャーか。あんまり上手くいってないな」

士郎「剣を再現する、っていう感覚はつかめたんだけどな。剣そのものをあまり見たことがなくて」

男「セイバーの剣はどうです?あれは強力そうですが」

士郎「やってみようとしたけど、絶対に無理だ。根本的に違うみたいだ」

男「ふむ・・・ では、私の宝具にある刀をお見せしましょうか?」

士郎「見せてくれるのか。それは有難いけど、魔力は良いのか?」

男「少しぐらいなら、凛も反対はしないでしょう。」

男「それっ」 



208:>>ID変わりましたが、1です:2015/10/10(土) 08:17:33 ID:ck9jy5uw

アーチャーが中空から、剣をばらまく。
全て、立派な日本刀だ。

士郎「こんなにたくさん出してもらって、良いのかアーチャー?」

男「この刀は私の宝具のために奉納されたものですから。取り出す分には楽な部類です。」

士郎「ありがとう、アーチャー」

男「いえいえ、どういたしまして。」

アーチャーが土蔵から居間に戻る。
幸いなことに、凛は不在だ。
昼食時まで、もう少し時間がある。

男(外を出歩きたいですが、サーヴァントと出くわしてもつまらないですね。)

男(今日は、大人しくしておきましょう。)

待つことの大切さを、アーチャーはよく理解していた。 



209:>>ID変わりましたが、1です:2015/10/10(土) 08:19:42 ID:ck9jy5uw

衛宮邸(夜)

遠坂「よく考えて行動しなさい!全くもう・・・」

遠坂「今日は何もしてないのに、なんだか疲れたわ」

士郎「すまん、遠坂。剣が作れてちょっと調子に乗っちまった」

遠坂「ちょっとじゃないでしょ。剣を10本以上投影するなんて、普通じゃないわ」

遠坂「それで倒れられたら、鍛錬の意味がないんだから」

士郎が珍しくシュンとしている。
普段はあまり反省しているような素振りが無いが、今回ばかりは応えているようだ。

遠坂「セイバーの調子はどう?」

士郎「あまり良くないらしい。今日は一日中寝てた」

遠坂「そう・・・」

士郎の焦りはもっともなものかもしれない。
サーヴァントが不完全な状態で、一歩でも早く力になりたいという願望。
それ自体は良いことだが、それで魔力切れでも起こされれば、元も子もない。 



210:>>ID変わりましたが、1です:2015/10/10(土) 08:20:25 ID:ck9jy5uw

男「今後は、どういう予定で行くのですか。」

遠坂「セイバーがあんな状態だから、今は動きづらいわ」

遠坂「かと言って、こうして何もしていない時間が長いほど、危ないことも確かなのよね」

士郎「この屋敷は、とりあえず安全なんだろ、アーチャー?」

男「一応、可能な限り警戒を敷いていますが、キャスターに突破される程度です。」

男「敵に魔術師がいることを考えれば、過信は禁物かと。」

遠坂「とりあえず、明日はキャスター陣営と話あってみましょう」

遠坂「信用はできないけど、今すぐキャスターに攻撃される理由が無いわ」

士郎「バーサーカーか・・・ 俺たちでやれるのか?」

遠坂「五分五分、って言いたいところだけど、勝率は2割あるかどうかね」

居間に沈黙が訪れる。
バーサーカーの圧倒的な強さが、厳しい現実として立ちふさがっていた。 



211:>>ID変わりましたが、1です:2015/10/10(土) 08:21:07 ID:ck9jy5uw

遠坂「とにかく、今日はもうゆっくり休みましょう」

士郎「そうだな」

話は終わった。
明日にならなければ、作戦らしい作戦は決まらないだろう。
二人が寝床へ向かう。

アーチャーは、縁台に出た。

男(坂本龍馬、か。おかしな男だったが、いなくなれば寂しいものだ。) 



212:>>ID変わりましたが、1です:2015/10/10(土) 08:22:52 ID:ck9jy5uw

Interlude 4

キャスター「役に立たない門番ね!」

キャスターが大声で罵る。
準備はしていたが、アサシンが戦力外となったのは大きな痛手だった。
襲撃を察知してから、主人等を避難させて数十秒後。

生涯を捧げるべき相手に、魔術をかけるのは気が引けたが、背に腹は変えられない。

「■■■■■■■■■■■■■■■■■■ーーーーーーー!」

キャスター「来たわね・・・!」

刀があれば、どうなっていたかは分からない。
しかし、唯一の得物を失ったアサシンが、かの大英霊ヘラクレスを止められるはずもなかった。

キャスター「お久しぶり、ヘラクレス。貴方は私のことなんて覚えてないでしょうけどね」

キャスターが全戦力を投入する。
先手必勝だ。

空間固定、時間遅延、空間離断、迷宮発動、最大出力の魔弾。
そのありったけを展開し、叩き込む。

バーサーカー「」

その破壊力をもってしても――
バーサーカーには、傷一つついていなかった。 



213:>>ID変わりましたが、1です:2015/10/10(土) 08:23:53 ID:ck9jy5uw

キャスター「・・・ッ」

空間転移をして、境内の上空に逃げる。
結界に囲まれているため、柳洞寺は逃げ場がほとんどない。

術の解けたバーサーカーが追う。

バーサーカー「■■■■■■■■■■■■■■ーーーー!」

門の影には、イリヤが控えていた。
本人は、キャスターの仕掛けたトラップを警戒しているつもりだ。

しかし、実際の所は――――
彼女の全精力が、バーサーカーの消費する魔力に充てられていた。

イリヤが唇を噛みしめる。
痛みに意識を取られれば、たとえ勝利が確定した戦いですら、行方がわからなくなる。

片腕は既に腐り落ち、右肩から異臭を放っていた。

黒い刻印のようなものが、右半身に広がっている。
それは、令呪であり、魔術刻印でもあるイリヤの身体を蝕んでいる諸悪の根源だ。
時間を経るにつれ、魔力の供給が難しくなる。

痛みに必死に堪えるその姿は、バーサーカーを操る多くのマスターが辿った末路を彷彿とさせた。 



214:>>ID変わりましたが、1です:2015/10/10(土) 08:24:50 ID:ck9jy5uw

バーサーカー「■■■!!■■■!!■■■!!」

バーサーカーがキャスターに斬りかかる。
しかし、一瞬早く転移したキャスターが辛うじて斬撃を躱す。
柳洞寺は、文字通り粉々になっていた。

追いかけっこが延々と続く。
しかし、魔法まがいのことが長く続くはずもない。

キャスターが貯めに貯めていた魔力は、すでに底が見えてきた。

とうとう、バーサーカーの刃が彼女を捉える。

キャスター「ギャッ」

魔女らしく斬り刻まれ、無残な最期を迎えた。
正面切って戦えば、キャスターなど敵ではない。 



215:>>ID変わりましたが、1です:2015/10/10(土) 08:25:29 ID:ck9jy5uw

イリヤ「よくやったわ、バーサーカー・・・ 次は・・・」

イリヤが崩れ落ち、石段から転げ落ちそうになる。
それを、バーサーカー持ち前の俊敏さを発揮し、支えた。
イリヤの代わりに、山門が土台から転げ落ちた。

静寂な山に、破壊音が轟く。

バーサーカー「■■■■■■■・・・」

そっと、懐に彼女を抱え込む。
この寺にはもう用はない。

そう考えているかどうか定かではないが、バーサーカーはゆっくりと階段を降りていった。 



216:>>ID変わりましたが、1です:2015/10/10(土) 08:26:55 ID:ck9jy5uw

Interlude5

臓硯「もう一度、はっきりと言わんか。慎二」

慎二「ボ、ボクはもう間桐の家から出るって決めたんだ」

慎二「引き留めても無駄だからな」

慎二「魔術師の才能がない、と言われ続けるのはもう沢山なんだよ!!」

臓硯「ふむ。まあ、出るというなら止めはせぬ」

慎二があっけにとられた顔をする。
臓硯が慎二を全く止めないというのは、慎二にとって意外であった。

しかし、臓硯はおじの間桐雁夜が出て行く時も、別に止めはしなかった。
魔術師としての彼らに、何も期待はしていない。
唯一期待している点があるとすれば――

娯楽の提供だ。 



217:>>ID変わりましたが、1です:2015/10/10(土) 08:28:40 ID:ck9jy5uw

臓硯「慎二よ。一応、お前はマスターだ」

臓硯「命を狙われては、長くは持つまい。教会へ行けば、良いように計らってくれるじゃろう」

臓硯が不気味に笑う。

慎二「お前に心配される云われはないね。まあでも、会うのはこれが最期だ」

慎二「一応聞いておいてやるよ」

慎二が逃げるように部屋を出た。
臓硯と桜が、食卓に残る。

臓硯「桜よ」

桜「はい、なんでしょうかお祖父様」

臓硯「間桐の家を出て行ったものがどういった末路を辿るのか、よく見ておくのじゃぞ」

たまらなく愉快そうに臓硯が笑う。
桜を救おうとして無残な最期を遂げた、哀れなおじを桜は思い出した。
この家から、出ようなんて考えてはいけない。

桜「――はい。」

桜が弱々しく返事を返す。顔色は悪い。
臓硯はその顔を見て、満足そうな表情を見せた。

臓硯(あの男なら、少しは楽しませてくれそうだ) 



218:>>ID変わりましたが、1です:2015/10/10(土) 08:30:21 ID:ck9jy5uw

しばらくして、慎二が教会に辿り着く。
深夜にも関わらず、教会には明かりが灯っていた。

正面の扉を開く。しかし、教会の中に人の気配はない。
独特の長椅子にどっかり腰を下ろすと、神父の到着を待つ。
あの神父とは、何度か会ったことがある。あまり、良い印象は無かった。

言峰「やあ、少年。懺悔ならば、週末にもう一度来ていただけないだろうか」

死んだ目をした神父がするりと入ってくる。
最初の言葉が、これだ。先が思いやられるというものだ。

慎二「懺悔?ボクがそんなことをする必要なんてあるのかい?」

慎二「見りゃあ分かるだろ。聖杯戦争であっけなく負けて、教会に逃げこんだってわけさ」

言峰「ほう。庇護を求める、と」

慎二「もう聖杯なんかに興味はないけどさあ。限りある生命は大切にしないとね」

言峰「フフフ、おかしなことを言う。聖杯に興味がないだと?」

言峰「万能の願望機である聖杯を求めずして、一体お前は何を生きることに求めるのだ」

慎二「そんなこと、聞くまでもないじゃないか。お前ならボクの境遇くらい知ってるだろ?」

慎二「自尊心だよ」 



219:>>ID変わりましたが、1です:2015/10/10(土) 08:31:13 ID:ck9jy5uw

言峰の眉がピクリと動く。
彼にとって、あまり面白い回答では無かったらしい。

慎二「さっさと案内してくれないかなあ。ボクは疲れてるんだ」

慎二「間桐家は教会にそれなりに貢献してるだろ?」

慎二「温かい食事と寝床ぐらいないと、割に合わないね」

言峰「教会は贅沢を禁じる場だ。しかし、最低限のものは用意してやろう」

奥に引っ込む神父。どうやら、ついて来いということらしい。
慎二も奥へと向かう。
その時、なにかとすれ違った気がしたが、それを気に留めることはなかった。 



220:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 17:56:14 ID:ck9jy5uw

翌朝。

士郎が凛を叩き起こした。
凛が不機嫌そうに目をこする。

凛「なによ、士郎」

士郎「とりあえず、ニュースを見てくれ」

凛がぼんやりと居間へ向かう。
お茶を一杯飲むと、少しは頭が冴えてきた。
テレビの画面に目を向けると、衝撃的な映像が飛び込む。

凛「何なの、あれ・・・」

それは、誰かに向けた言葉ではない。
柳洞寺の全壊。

これが何を意味するか、彼女は瞬時に分かった。

凛「崖崩れではないようね。昨日相談したとおり、とりあえず柳洞寺へ行きましょう」

士郎「わかったよ、遠坂。朝飯は軽くで良いよな」

凛「ええ。あと、セイバーも連れて行きなさい」

凛「万が一、バーサーカーと出くわしたら勝負にならないわ」 



221:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 17:59:57 ID:ck9jy5uw

二人が素早く支度し、準備が完了する。凛は完全武装だ。
そして、門を出ようとした時――

「よう」

後ろから、唐突に声をかけられた。
四人は一斉に振り向き、臨戦態勢を取る。
このタイミングで仕掛けてくるとは、最悪の展開だ。

ランサー「いや、そういうんじゃねえんだ。今回は」

セイバー「何をしに来たのです、ランサー!」

ランサー「話すとなげえんだが。いつからここは大迷宮になってんだ?」

ランサー「門をくぐった瞬間、異世界に吹き飛ばしやがった」

ランサー「最初は、樽詰めにされて串刺し。お次はレースゲームで爆死。」

ランサー「最期にはバーサーカーに連れ回されて、うっぷ・・・」

何か嫌なことを思い出したのか、見るからに調子が悪そうだ。 



222:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 18:00:34 ID:ck9jy5uw

ランサー「とにかく、精神攻撃を受けまくって、こうしてここに居る、というわけだ」

男「ああ、それらは私の仕掛けた防御魔術ですね」

男「突破するとは、大したものです」

凛「貴方、ランサーの侵入に気付かなかったの!?」

男「・・・ええ。最後に警報を起動させるのを、失念しておりました」

凛が信じられないという顔をする。
同様のミスを彼女は繰り返しているのだが――
そのことで言い合いを始めては、ランサーどころではなくなる。 



223:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 18:01:26 ID:ck9jy5uw

凛「まあ、いいわ。何しに来たの、ランサー」

ランサー「マスターの方針が変わってな・・・お前らに加勢してこい、だそうだ」

凛「はあ?貴方を信じられるわけないじゃない」

ランサー「そんなこと百も承知してるぜ」

ランサー「とにかく、バーサーカー相手に俺一人じゃ分が悪いって判断だ」

ランサー「ただ後ろから付いて行って、バーサーカーと殺り合う」

ランサー「文句はねえだろ?」

ランサーの提案に戸惑うものの、従う他ない。
ここで戦えば、唯でさえ少ない戦力がさらに削られるだけだ。
味方だとすれば、十分に心強い相手でもある。

凛「――わかった。ただし、貴方の横にはセイバーをつけるわ」

凛「何か変な動きでもしてみなさい。すぐに始末するわよ」

これはハッタリだ。
セイバーの戦闘力は、ランサーを下回るほど状態が悪化している。 



224:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 18:02:37 ID:ck9jy5uw

ランサー「あいよ」

短く返事をされる。
一つ、彼に疑問をぶつけてみる。

凛「貴方がここに来たということは、キャスターはやっぱり負けたのね」

ランサー「ああ。バーサーカー相手に完敗だ」

ランサー「それを受けて、嬢ちゃん達がバーサーカー討伐に行くと思ったんだが――― 違うか?」

凛「ええ、そうよ」

士郎「何だ、話が違うじゃないか遠坂」

凛「いいえ、最初からその予定よ」

凛「キャスターが敗北、アサシンと共に滅んだとして考えるとね」

凛「もう、セイバーとアーチャー、ランサーしか残っていないわ」

凛「その三人が手を組んだ以上、バーサーカーが最弱になっているのは今よ」

凛「キャスターが、少しは肉達磨にダメージを与えていることを願うしかないわね」

士郎「なるほど、そういうことか」

ランサー「こっちのマスターも同じ考えだ。ま、短い間だがよろしく頼むわ」 



225:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 18:04:56 ID:ck9jy5uw

凛と士郎が先頭を歩く。
アーチャーがすぐその背後。
セイバーとランサーが、そこからかなり離れてついてくる。

互いに交わす言葉はない。

バーサーカーとの戦い。
敗北すれば、ランサーのマスターを除いて、全員死ぬだろう。
そんなつもりは、凛にも士郎にも毛頭なかった。

しかし、たとえ僅かな可能性をつかみとって、勝利したとしても―――
そこからすぐにランサーと死闘を演じることになる。

互いを牽制しながら、バーサーカーと戦うのは、非常に窮屈だ。
そんな状態で、勝てるとは到底思えない。

しかも、敗色が濃厚となった時。ランサーを信じる他、選択肢は無くなっている。
生殺与奪が、この場にいないマスターに握られているのは良い気がしなかった。

凛(問題無いわ)

凛(こんな重要な決戦で姿も見せない臆病者に、私が負けるはずないもの)

凛が自分に言い聞かせる。
足取りは、決して軽くはない。 



226:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 18:05:45 ID:ck9jy5uw

長い距離を、歩き続けた。
緊張感を持ち続けたため、戦う前から少しばかり、疲れている。

アインツベルン敷地内の手前まで辿り着く。
鬱蒼と茂った森には、罠が幾重にも仕掛けられていることが予想できた。

凛とアーチャーが目線を交わす。アーチャーが頷き、先頭に立つ。

男「では、私が解除しながら進んでいきますので、後からついてきてください。」

ランサー「へえ。テメエはキャスターの真似事もできるってわけかい」

セイバー「無駄口を叩く必要はない、ランサー」

ランサー「へいへい・・・ったく、重苦しくってしょうがねえ」

凛「信用出来ない相手に対して当然よ・・・諦めなさい」

ランサーが肩をすくめる。
もっとも、彼に課せられた令呪の縛りと比べれば、何でも無いものだ。
番犬は、それなりに自由な暮らしを、したいものなのである。

アーチャーが慎重に進んでいく。
彼一人なら、イリヤの不意を付く形で進入することすら可能かもしれない。

慎重に進んでいく割には、何か解除する素振りを見せない。 



227:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 18:06:43 ID:ck9jy5uw

凛「何してるの、アーチャー?」

男「いえ、罠が無いのが不気味でゆっくりと動いてます。」

イリヤは、自分のサーヴァントに絶対の自信を持っていた。
恐らくこれは、彼女が侵入者を恐れないことへの裏返しだろう。
だとすれば、慎重に進むことにあまり意味は無い。

凛「さっさと行きなさい。無いものを探してもしょうがないでしょ?」

ランサー「じれったくてしょうがねえ。慎重なのも大概にしろよ」

ランサーにまで声をかけられる始末だ。
セイバーが何も言わないところを見ると、それなりに不満が溜まっているのだろう。

アーチャーはため息をつくと、いつもどおりの速さで歩き始めた。

それから20歩も進んだだろうか。
足元が爆発してアーチャーが巻き込まれた。 



228:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 18:08:15 ID:ck9jy5uw

凛「アーチャー!」

男「ああ・・・ 私なら無事です。」

男「よく考えると、私を傷つけられるお手軽な魔術があるとは思えませんね。」

男「さくさくっと進みますから、ついてきてください。」

どうやら、ここは地雷原らしい。手の込んだことをしていたようだ。
爆発させながら、アーチャーが歩き続ける。
危険な匂いしかしないため、残り4人はかなり離れていることに、彼は気づいていなかった。

不意に、足元がなくなる。

凛「今度は落とし穴、っと」

凛「もういいわ、アーチャー。慎重に進みましょう」

穴の底へと叫ぶ。結構深くまで掘られていたようだ。
どうにかしてアーチャーが這い上がってくる。
土埃をはらうと、彼は憤慨して言った。

男「・・・私のあとについてきてください」

男「全く。他人の忠告に従うと、碌な事になりませんな」ボソッ

再び、アーチャーが慎重に足を進める。
その後は、比較的スムーズにアインツベルン城の入り口に着いた。 



229:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 18:09:19 ID:ck9jy5uw

凛「さあ、いよいよね」

凛「ランサー、貴方が一番最初に入りなさい」

ランサー「貧乏くじを引けってわけかい。まあ外様じゃあ仕方ねえな」

ランサーが扉を開き、中へ入る。
安全らしいことを確認すると、全員が正面から入った。

今回はバーサーカーを討伐するための集団だ。
隠れる必要は、ない。
空っぽの大広間の奥へと、凛は声をかけた。

凛「イリヤスフィール!いるなら出てきなさい」

凛「貴方のことだから、侵入したことぐらいわかってるでしょ!」

イリヤ「・・・うるさい。頭に響くから、静かにしてちょうだい」

イリヤが一階から、バーサーカーを連れて現れる。
凛と士郎は、そのあまりの衰弱ぶりに驚いていた。

凛(なに、この臭い・・・)

腐卵臭と酪酸を同時に嗅いだような、ひどい臭いがする。
何よりも、イリヤの身体だ。 



230:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 18:09:59 ID:ck9jy5uw

右腕は、恐らくない。
首から顔にかけて、黒いしみのような筋が広がっている。
太ももから、ふくらはぎにかけても同様だ。
恐らく、体幹にも広がっているのだろう。

凛(一体、誰が―― キャスターの術に引っかかった?)

凛(バーサーカーを連れたイリヤに、あんな術を仕掛ける余裕があったのかしら)

士郎「イリヤ。その・・・大丈夫か?」

士郎は素直な感想を口にする。
バーサーカーを連れ、脅威であることは間違いない。
しかし、今目の前にいるのは、瀕死の少女だ。

イリヤ「言いたいことは色々あるようね。」

イリヤ「でも、こっちはあまり時間がないの。」

イリヤ「聖杯を手に入れないとね。そっちから、まとめて来てくれたのは助かったわ・・・」

イリヤ「やりなさい、バーサーカー」

バーサーカー「■■■■■■■■■■■■■■■■■ーーーーーーー!!!」 



231:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 18:12:38 ID:ck9jy5uw

凛(うそっ。この前あった時よりかなり強くなってるじゃない!?)

凛(あの時は、狂化はしてなかったってこと?あの強さで?)

ランサー「こっちも、前は全力を出せなくてよ。ちょうど良いじゃねえか」

ランサー「派手にいこうや!」

ランサーが突撃した。バーサーカーよりも、さらに早い。
ステップとフェイントを駆使して、翻弄している。

セイバー「シロウ、私も行きます!」

士郎「ああ、でも無理はするなよ、セイバー」

セイバーが突っ込んいく。
体調は十分ではないが、ランサーだけ任せては意味は無い。
ここで、最大戦力を投入しなければ、敗北が決定する。

バーサーカーが戦斧を薙ぐ。
薙いだ後の隙を狙って攻撃することはできる。
しかし、その攻撃をも狙えるのが、バーサーカーの高い身体能力だ。 



232:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 18:13:18 ID:ck9jy5uw

セイバーが突っ込んいく。
体調は十分ではないが、ランサーだけ任せては意味は無い。
ここで、最大戦力を投入しなければ、敗北が決定する。

バーサーカーが戦斧を薙ぐ。
薙いだ後の隙を狙って攻撃することはできる。
しかし、その攻撃をも狙えるのが、バーサーカーの高い身体能力だ。

ランサー「ちぃっ。やっぱり、槍が通らねえか」

狙いすました返す刃すら、紙一重で躱す。
ランサーの戦闘力は、決して侮れない。

ランサー「おい。いつまで、その剣を隠してるんだ。さっさと正体示して決着をつけろよ!」

ランサーがセイバーを挑発する。
セイバーは、ランサーとバーサーカーの戦闘についていけない。
本人の能力の問題というよりは―― やはり、マスターの問題だ。

士郎「セイバー!もう剣を隠すのはなしだ。全力でやってくれ!」

セイバー「わかりました、シロウ!」

隠し続けていた、黄金の剣が現れる。

ランサー「ほう、面白いもん持ってるじゃねえか。じゃあ、こっちも――

ランサー「全力といくか!」 



233:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 18:15:08 ID:ck9jy5uw

ランサーが大きく間合いを取る。
その後を追うバーサーカーの間に、うまくセイバーが滑りこむ。

剣を隠した状態とは、根本的な威力が違うらしい。
あのバーサーカーとも、何とか互角に打ち合っている。

ランサー「刺し穿つ―――   死棘の槍!!!」(ゲイ・ボルク!)

ランサーの必殺の一撃が命中した。因果を逆転し、バーサーカーの心臓が貫かれる。
貫かれるはずなのだが――

ランサー「ちぃっ」

バーサーカー「■■■■■■■■■■■■■■■■ーーーーーーー!!!」

バーサーカーが気炎を上げて、ランサーに襲いかかる。
セイバーは堪らず、横に逸れた。
どういうわけか、槍は胸の前で止まると、ランサーの手元に戻ってきてしまった。

ランサー「一体どういうわけだ!!」

ランサーが激昂しながらバーサーカーと激突する。
彼が怒るのも無理は無い。この宝具は、彼の人生の代名詞なのだ。 



234:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 18:17:51 ID:ck9jy5uw

セイバーが後ろから斬りかかる。
バーサーカーは斬りざまに間を抜けると、再びイリヤの前に戻った。
戦闘も、ふりだしに戻った。

イリヤ「あら、バーサーカーにそんな宝具は効かないわ」

イリヤ「・・・ッ」

彼女を覆っている黒い蔓が、短い時間でより広がっているように見えた。
これは、チャンスだ。

凛「一気に畳み掛けなさい!イリヤは限界が近いわ!」

ランサー「言われなくても、そのつもりだ!!!」

ランサー「力よ――

ランサーが鎧を解除し、ルーン魔術を展開するため上裸になる。
本気で魔術を行使する際は、金属類は厳禁だ。

その隙を逃すバーサーカーではないが、セイバーが再び間を割った。
何合か打ち合う。

剣を解放しているとはいえ、どうしても力負けする。
遮蔽物もなく、上手く立ちまわることも難しい。

先程まで、建物を巡っていたアーチャーが戻ってきた。
直ちに、詠唱を開始する。 



235:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 18:20:20 ID:ck9jy5uw

アーチャー「この土地は、遥か古来より我が土地である。」

アーチャー「それを返さず、あまつさえ乱すのであれば、朝敵と謗られても文句はいえまい。」

アーチャー「八百萬の神々よ、鬼神となりて我らに加護を授けよ・・・!」

アーチャーが両手を鷹揚と延ばし、声を張り上げた。
セイバーとアーチャーの全てのステータスが、一段階跳ね上がる。

セイバー(このような魔術を持っていたのですか、アーチャー!?)

セイバーが再びバーサーカーと互角になる。
今まで、ステータスの低さは剣技でごまかしていたのだ。
その差が埋まるのであれば、何とか時間稼ぎにはなる。 



236:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 18:22:19 ID:ck9jy5uw

ランサーの周りに炎が走る。
今度こそ、彼が繰り出したのは必殺の一撃だ。

ランサー「刺し穿つ―――   死棘の槍!!!!!」

バーサーカーの胸が貫かれる。
槍は、一直線に突き破った。

バーサーカー「■■■■■■・・・・

心臓を貫かれたバーサーカーが動きを止める。

凛「よしっ!」

凛がガッツポーズを取る。
この後は、ランサーと戦わなくてはならない。

しかし、これほど被害が少なくて済んだのだ。問題は、無いだろう。
そんなことを考えていると―――

セイバー「いいえ、まだです!」

目の前で、バーサーカーが再生しはじめていた。
再生というのは良い表現ではない。時間の巻き戻しや、呪いの類に近い。 



237:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 18:23:26 ID:ck9jy5uw

バーサーカー「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ーーーーーー!!!!!」

悪夢が復活する。

イリヤ「・・・バーサーカーの宝具は、彼の生き様そのものよ。凛」

イリヤ「ヘラクレスの12の試練って知ってる?あと11回は倒さないと」

凛がその真名を聞いて、恐怖に震えた。
ギリシャ神話の大英雄、ヘラクレス。
あれは、到底敵う相手ではない。

男「凛、しっかりなさい」

男「バーサーカーは無敵ですが、マスターは無敵ではありません」

男「とにかく戦っていれば、活路は見えてくるはずです」

凛「ええ、そうね・・・ 私としたことが、情けない姿を見せちゃったわ」

凛「セイバー!もう後がないわ。貴方の宝具、解禁しちゃいなさい!」

セイバー「わかりました」

セイバーに、魔力供給はなされていない。
宝具を使ってしまうと、もう長くは現界していられないだろう。
しかし、敵がこれほど手強いならば、出し惜しみはなしだ。 



238:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 18:27:25 ID:ck9jy5uw

ランサー「刺し穿つ―――   死棘の槍!!!!!」

三度、槍が放たれる。
しかし、再び胸の前で止まると、ランサーの手元に槍が戻った。

イリヤ「同じ宝具は、効かないわ。残念だったわね、ランサー」

イリヤ「ゲホッ」

イリヤの可愛らしさとは程遠い咳がでる。
血が口から垂れ、床を赤く染める。
やはり、長くもちそうには見えない。

セイバー「ランサー、何とか隙を作ってバーサーカーを宙に上げてください!」

ランサー「そりゃまた無理難題だな!気に入ったぜ、セイバー!!」

ランサーが猛然とバーサーカーに突きかかる。
セイバーは後退した。
これから放つ宝具は、対城宝具。周囲への被害は、出来る限り避けるべきだ。 



239:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 18:30:18 ID:ck9jy5uw

ランサーが槍を振るう。もはや、その速さは神速の域だ。
槍が刺さってはいるが、全て無効らしい。

攻撃は全く効かないのだが―――
それでも周囲を飛び回られると反応してしまう。

ランサーが大きく宙にはねた。
バーサーカーも上へ跳ぶ。

ランサー(これだと厳しいみてえだな)

セイバーは、まだ手を出そうとしない。

槍と斧がぶつかり、火花が散る。
空中戦では、移動ができないランサーが不利だ。
勢いに任せてぶつけた斧で、そのまま天井まで弾き飛ばされた。

バーサーカーが着地する。しかし、ランサーは落ちてこない。
ランサーを仕留めようと、再び大きく跳躍する。 



240:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 18:31:14 ID:ck9jy5uw

その隙をつき、セイバーが聖剣を構える。
魔力の全てを、この一刀に送り込む。

黄金の剣に、魔力が集中する。
風が渦巻く。

セイバー「約束された―――勝利の剣<エクス・・・カリバアアアァ!!>」

光線が剣に収束し、束となってバーサーカーを貫いた。
そのまま天井も貫く。

バーサーカー「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■」

崩れた天井とともに、落ちてくるバーサーカー。

凛「ふせなさい!」

地面に叩きつけられ、瓦礫が飛び散る。
アーチャーが戦艦のようなものを召喚し、凛と士郎を守った。
鉄に石がめり込む、重低音が響く。

凛「どうなったか分かる、アーチャー?」

男「しばらくすれば分かります。」

アーチャーが戦艦のようなものを解除する。
突き刺さっていた瓦礫が落ち、砂埃が舞い上がった。 



241:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 18:36:37 ID:ck9jy5uw

砂塵で遮られてはいたが、起き上がる巨体は、朧げながら見えた。

凛「これだけの攻撃を受けて、まだ死なないっていうの!?」

バーサーカーに気を取られて凛は気づいていない。
セイバーが、瓦礫の影で横たわっている。着ていた鎧すら維持できていない。

士郎「セイバー!!」

ぐったりとしたセイバーを、容赦のない斧が襲う。

士郎が飛び出した。

凛「バカッ!」

凛が服をつかもうとしたが、届かない。
このままでは、全滅する――――

ランサー「ボサッとしてんじゃねえ!!」

ランサーがセイバーを蹴り飛ばす。
そのままセイバーが士郎に激突した。 



242:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 18:37:40 ID:ck9jy5uw

ランサー「俺が時間を稼いでやるから、テメエらはとっとと・・・

「ほう。随分と話が違うではないか、ランサー」

全員が二階を見る。
凛にとって見知った姿が、そびえ立つ。

凛「言峰、綺礼・・・」

言峰「お前には、ただバーサーカーを討てと命じたはずだ。凛や衛宮を庇う必要はない」

ランサー「俺はテメエの言ってることに従っただけだぜ。」

言峰「まあ良い。アーチャー、聖杯が腐りかかっている。早く回収せねば、手遅れになるぞ」

アーチャー「分かっておるわ、言峰。」

アーチャー「王の財宝!」

アーチャーの周りに、夥しい数の宝具が展開される。

凛(何あれ、全部宝具なの!?)

アーチャー「雑種よ、せめて散り様で我を興じさせてみよ」 



243:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 18:39:59 ID:ck9jy5uw

一気に宝具が射出される。狙いは全て、イリヤだ。
バーサーカーが、主人を守るための盾となった。

バーサーカー「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ーーーーー!!!」

幾つか宝具を弾いたが、大部分は身体を貫いた。
傷ついた部分から、再生していく。
しかし、容赦なく宝具は降り注ぎ続けた。

アーチャー「残り4つか。ハッハッハッ、少しはやるではないか」

イリヤ「~~~~~~~ッ!!」

イリヤは言葉を発することができない。
全身の激痛。あまりの痛みに気絶することもできず、白目を剥いている。
彼女の身体は、もはや、黒い回路で覆いつくされていた。

さらに宝具が射出される。
バーサーカーは奮起しているが、攻撃を全て防ぐことは到底不可能だ。
弾かれた宝具があたりで爆発する。

バーサーカーの身体が引き裂かれていく。
命を一つ削るのがやっとだった怪物を、いともたやすく潰していく。

あたかも、英霊をシュレッダーにかけているようだった。
それは、アーチャーにとって事務的な作業にすぎない。 



244:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 18:41:47 ID:ck9jy5uw

アーチャー「最後の一つだ。ここでどうにかせねば、お前の主人ともども終わりだぞ!」

アーチャーが高笑いしながら宝具を展開する。
言葉の通り、バーサーカーが二階へ突っ込んだ。
身体が引き裂かれていくが、もう再生はしない。

それでも、バーサーカーの勢いは止まらない。
斧が振り上げられ、アーチャーを叩き潰そうと――

アーチャー「天の鎖よ!」

四方八方から、鎖が放たれ、バーサーカーに巻き付く。
ただの鎖ならば、容易に引きちぎっていただろう。
しかし、それは神性が高ければ高いほど強固になる、対神宝具であった。

バーサーカー「■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!!」

アーチャー「獣は所詮獣であったか。これで終いだ。」


宝具が展開され、バーサーカーに突き刺さる。
完全に沈黙し、消滅した。

魔力の供給は当になくなっていたのだが、意思の力だけで現界していたのだ。


アーチャーが一階に飛び降りる。 



245:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 18:52:46 ID:ck9jy5uw

アーチャー「この臭いはたまらんが、生き延びたことに免じて許そう」

イリヤは気絶していた。
もはや、生きているかどうか、傍から見ては分からないほど、酷い状態だ。

アーチャー「哀れなものよ。役割を果たすまでは、死さえ許されぬとはな」

アーチャーの腕が、イリヤの身体を貫いた。
苦しみに悶えて、びくびくとイリヤが動く。

アーチャーは何かを掴むと、そのまま腕を引き抜いた。
イリヤの胸から、血が噴き出る。

その手には、心臓が握られていた。

アーチャー「これはまた、随分と醜悪な聖杯だな!さぞかし面白いことになろうよ」

言峰「愉しみはとっておけ、アーチャー。幾つか、片付けるべき問題がある」

言峰「さて、ランサー。どういうことか、説明してもらおうか」

ランサー「それはこっちのセリフだ。マスターは影に引っ込んでいるんじゃなかったか?」

言峰「いや、器が乗り気ではなくてな。私は代理だ」 



246:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 18:53:43 ID:ck9jy5uw

言峰「命令だ、ランサー。セイバーと、そこにいる男も倒せ。もちろん、マスターもだ。」

ランサー「そんな話に従うかよ。テメエは最初から気に食わなかったんだ」

ランサー「どうしても従わせたいってなら、令呪でも使うんだな!」

ランサーが、事実上の絶縁を宣言する。
言峰の表情をうかがい知ることはできない。

言峰「では、令呪にかけて命じよう」

言峰が腕をまくる。その腕には、十数本はあろうかという令呪が刻まれていた。

凛が臨戦態勢を取る。
セイバーは、もはや期待できない。
あのバーサーカーすら倒した謎の「アーチャー」に勝てるはずもない。

凛(タダじゃ死なないわ。見てなさい、綺礼・・・!)

言峰「令呪を持って命じる。自害せよ、ランサー」

ランサーが驚きに目を見開く。
槍をくるりと自分に向けて持つと、そのまま胸に突き刺した。
ランサーが血を吐く。

ランサー「どういうつもりだ、テメエ・・・」 



247:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 18:54:47 ID:ck9jy5uw

ランサーが槍を引き抜くと、そのまま言峰に向かった。
驚くべき生命力だ。

アーチャー「天の鎖よ!」

再び、鎖が出る。ランサーは絡めとられた。

アーチャー「犬は犬らしく、大人しく主人に従っていれば良いものを」

アーチャー「死を命じられれば、疾く逝ぬのが礼儀であろう」

ランサーが、アーチャーにつばを吐く。
表情を変えずに、アーチャーは剣を取り出すと―――
そのまま首を刎ねる。

アーチャー「犬の躾がなってないぞ、言峰」

言峰「フフ、懐かれるのは致し方なかろう。滑稽な姿だぞ、アーチャー」

言峰がクツクツと笑う。 



248:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 18:56:24 ID:ck9jy5uw

アーチャー「誰の許可を得て我の顔を拝するか、下郎。」

アーチャーが凛たちを見下ろす。
士郎とセイバーは、瓦礫の影にいる。

二人のアーチャーが、対峙した。

アーチャー「これはまた、貧相なのが残ってるではないか」

男「第八のサーヴァント、ですか。貴方は私と違い、随分と神々しいお姿ですね。」

男「最古の英雄譚には、あらゆる宝具を収集し、投擲して戦う王の記録があります。」

男「王の名は、ギルガメシュ、でしたか。」

アーチャー「その薄汚い身で、わが名を口にするか!!」

ギルガメッシュが激昂する。

ギル「しかし、我への最低限の礼儀を心得ていることは、評価してやろう」

ギル「特別に、話す事を許可する。口をきいて良いぞ、雑種」 



249:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 18:57:38 ID:ck9jy5uw

男「全てを手に入れた王が、聖杯を求める必要があるのですか?」

ギル「何を世迷い言を。この世全てのものは、全て我に帰属する」

ギル「我の財を許可無く奪い合われては不愉快だ。」

ギル「本来の所有者である我の蔵に戻すのが、当然であろう」

男「それでは聖杯に願うことは何もない、と。」

ギル「さて、話は終わりだ。このままでは聖杯が腐ってしまうのでな」

ギルガメッシュが、数多の宝具を展開した。

ギル「失せよ」 



250:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:00:12 ID:ck9jy5uw

大量の宝具が射出される。
突然のことに、アーチャーは全く対応できなかった。

いや。たとえ時間があったとしても、あの数多の宝具を防ぐ術を、アーチャーは持ち合わせていない。
世界がゆっくりと動いて見える。

最期を覚悟した――― その時だ。
目の端から、何かが飛んで来るのが見えた。

男(セイバー!?)

セイバーが目の前で剣を構える。
それは、無謀だ。彼女には、最低限の魔力しか残っていない。

バーサーカーの末期が再現された。
剣が次々と無防備なセイバーを貫いていく。

アーチャーは、自分だけに集中していた。
彼女の覚悟を無駄にするわけにはいかない。

気がつけば、射出は止まっていた。
バーサーカーを相手した際、彼は容赦なく打ち続けていたのだが。 



251:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:00:43 ID:ck9jy5uw

ギル「ふん。興が削がれた。行くぞ、言峰」

ギル「おい、そこの雑種。セイバーに免じて、この場は許そう」

ギル「柳洞寺で待つ。そこで、聖杯は成るであろうよ」

ギルガメッシュが去る。

言峰「命拾いしたな、凛。楽しみに待っているぞ」

言峰も出て行った。

あとに残されたのは、崩れた城と一つの死体。
瀕死のサーヴァントと、二人のマスターだけだ。

士郎「セイバー!!!」

士郎「死ぬな、セイバー!」

士郎の最後の令呪が一画消費される。令呪は、絶対命令権にすぎない。
彼女を助けることは、不可能だ。

セイバー「シロ、ウ・・・」

駆け寄った士郎に、抱き起こされる。
致命傷が幾つもある。血が心臓の鼓動に合わせて噴き出る。 



252:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:01:27 ID:ck9jy5uw

セイバー「令呪を、無駄にしては、いけないと、言ったはずです」

セイバーが、士郎の首に腕を回す。
そのまま、顔を近づけて口を吸った。

士郎が呆然とした顔をする。

セイバー「アーチャー・・・」

セイバー「士郎を、頼みます。私の、願いは、叶って、ますから・・・」

セイバーが目を閉じる。
そのまま、彼女は虚無へと還っていった――――

士郎「セイ、バー」

虚無へと士郎が呼びかける。その声は、果たして彼女に届いたのだろうか。

士郎「セイバアアアアアアアアアアアアアアアアアアアーーーーー!!」

叫び声が、虚しく城に響き渡った。 



253:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:02:31 ID:ck9jy5uw

凛と士郎が無言で、穴を掘り終えた。
埋葬しよう、と提案したのは士郎だ。

腕がなかったが、あるべき所に腕を置く。
顔は苦痛に満ちていた。

苦痛に歪んだ顔を、すこしだけ楽な格好にしてやる。
死後まで苦しむ必要はない。

重苦しい沈黙が、三人を覆った。

男「全ての生には、別れがあります。」

男「せめて、笑って見送りましょう。それが、生きている者の責務です。」

アーチャーが地面に手をつく。
草木が芽で、花が開いた。
これで、少しは寂しくはないだろう。 



254:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:03:05 ID:ck9jy5uw

凛「このあと、どうするの?アーチャー」

男「らしくないですよ、凛。もちろん、柳洞寺に向かいます」

凛「相手は、あのギルガメッシュよ。勝てるわけ、ないじゃない・・・」

凛「もしかしたら、貴方もセイバーと同じ末路を」

そこで凛がハッと口を覆う。
士郎が暗い顔で凛の方を見ている。

それは、怒りや悲しみの表情では無い。
言い表す言葉があるとすれば―― 諦念、だろうか。

男「ギルガメッシュは、聖杯の本質を私同様に見抜いているはずです。」

凛「聖杯の本質・・・?」

男「ええ。10年前の大火災、その被害者達が教えてくれました。」

男「あれは、この世全ての呪いを包含した災厄の類です。」

男「願望機としての機能はあるかもしれませんが」

男「恐らく、それは他人を害することでしか叶わぬでしょう」 



255:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:04:05 ID:ck9jy5uw

凛「それって――」

男「ええ。例えば、お金持ちになりたいと願えば、周り全てを貧しくする。」

男「世界の平和を望めば、争いのないよう、等しく人類に滅びを与える。」

男「そういう形でしか、願いは叶わないでしょう。」

凛「じゃあ、ギルガメッシュは何を願うのかしら」

男「分かりません。しかし、碌な物では無いでしょうね。」

男が言葉を吐き捨てる。
これだけ負の感情を露わにしているのは、彼には珍しい。

男「私には、災厄を止める義務があります。生前からの誓いですから。」

凛「そう。なら、止めないわ」

凛「代わりに、私も連れていくこと。貴方だけを危険に晒すことは、できないわ」

男「しかし、ですね。」

凛「これは命令よ、アーチャー」 



256:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:04:43 ID:ck9jy5uw

凛の目を見る。その決意は、堅い。
聖杯戦争の始まりから、彼女はこういう展開を覚悟していたのだろう。
魔術師とは、そういうものだ。

凛「士郎はどうするの?」

凛「もう、貴方が私に付き合う必要はないわ。むざむざ死にに行くようなものだしね」

士郎は答えない。
俯いて、ただ拳を握りしめているだけだ。
その目に、感情はない。

男(凛。少し外していただけませんか)

凛(なによ、アーチャー。秘密の話?)

男(貴方がいては、話しにくいこともある、ということです。)

凛「あー。ちょっとアインツベルン城を調べてくるわ。使えるものもあるかもしれないし」

凛「アーチャーはここに残ってなさい」

男「分かりました、凛。」

凛が城へと向かう。
二人が無言で、花に覆われたイリヤの墓を見つめる。 



257:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:06:16 ID:ck9jy5uw

士郎「・・・セイバーには、憧れてた」

士郎「俺は正義の味方になりたい。セイバーは、俺にとって理想の存在だったんだ」

士郎「常に正しくあることを心掛け、それを貫く力もあった」

士郎「あいつは――――」

士郎が言葉に詰まる。
それを認めてしまえば、彼女の存在を汚すことになる。
それでも、士郎はその邪さも含めて、彼女を心から敬愛していたのだ。

士郎「俺の、初恋の相手だ」

男「そうですか。」

士郎「俺はもう正義とか関係なく―――― ただただ、許せないんだ」

士郎「ハハッ、正義の味方失格だな」

士郎の初めての笑顔。
このような形で見ることになるとは、思っても見なかっただろう。 



258:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:07:10 ID:ck9jy5uw

男「いえ。貴方は、初めて自分の正義を見つけたのでしょう。」

男「その感情を忘れないで下さい。その正義は、誰かの借り物ではない。」

男「貴方だけの、正義なのですから。」

士郎「そういう解釈もあるのか。面白いことを言うな、アーチャーは」

士郎「だから―― 俺も、連れて行ってくれないか」

こう言うと、アーチャーはわかっていた。
これからの提案は、彼にとって残酷な選択だ。

男「はっきり言って、貴方は戦力にはなりません。」

男「ただし、一つだけ、強制的に戦力にする方法があります。」

士郎「なんだよ、勿体ぶって。難しいのか?」

男「いいえ、方法は簡単です。貴方の魔術回路を、私が借りて強制的に起動させます。」

士郎「そんなこと、可能なのか?」

男「全ては、貴方がどれだけ自分の魔術を理解しているかによります。」 



259:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:07:50 ID:ck9jy5uw

士郎「失敗すると、どうなるんだ?」

男「死にます。」

士郎「そうか。頼んだぞ、アーチャー」

ためらいもなく、士郎が答える。
この男は、端から死を恐れていない。
アーチャーにとって、その姿はむしろ悲壮なものに見えた。

男「・・・わかりました」

男「凛。そろそろ戻りましょう。」

アーチャーが声をかけると、凛が奥からひょっこり顔を出した。

凛「そうね。とりあえず、衛宮君の家で一休みしてから、行きましょうか」

凛「急いでもしょうがないし――― 少し、疲れたわ」

男「わかりました。」

士郎「ああ、俺もそれで良いよ」

三人は墓に手を合わせて、城から去った。
願わくば、彼女が天国では幸せでありますように、と。 



260:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:09:10 ID:ck9jy5uw

Interlude6

言峰教会の裏の顔は、聖堂教会としての役割だ。
地下室には、普段から人気はない。
しかし、今日は客人が簀巻にされ、転がっていた。

ギル「仕事だぞ、慎二」

慎二「なにするんだ、このっ! 教会が保護してくれるなんて嘘っぱちじゃないか!」

ギル「道化よ。悪いが今は付き合ってやる暇がない」

ギルガメッシュが、王の財宝から心臓を取り出す。
すでにかなり悪い状態になっていたのだが、聖杯としてはほぼ完成している。
既に6体のサーヴァントが取り込まれているのだ。

ギル「ふんっ!」

慎二の身体に、心臓が移植される。
魔術師としての才能は全く無いが、器としては十分機能する。 



261:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:10:04 ID:ck9jy5uw

慎二の身体に、心臓が移植される。
魔術師としての才能は全く無いが、器としては十分機能する。

慎二「あがっ」

慎二がうめき声を上げる。移植した部位から、身体がブクブクと膨れ上がる。
しかし、思いの外、彼はよく耐えていた。

慎二「お前がどこのサーヴァントか知らないけどな・・・!」

慎二「間桐を舐めるなよ」

慎二「ボクは、魔術師としては三流以下だ。それでも、お前の野望ぐらいは分かるんだよ!」

慎二「絶対に――― 許さないからな!」

慎二「がああああああっ」

膨れ上がった身体から、腕が伸びる。
それが、慎二の身体に巻きつき、中に取り込もうとする。
許すわけにはいかない。ここで、飲み込まれれば全てが終わる。

ギル「道化師は道化に徹していれば良い物を。愚か者めが」

ギルが慎二の頭を強引に押しこむ。
埋没していく顔は、ギルガメッシュには見えなかったが――

彼の決意が、己に刻まれていた。 



262:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:11:15 ID:ck9jy5uw

衛宮邸。目が自然と覚める。

外は暗くなってから、かなりの時間が経っているようだ。
宙には星空が広がっている。

凛「さて、そろそろ行きましょうか」

士郎「ああ」

士郎が短く答える。
彼は休まず、道場で瞑想をしていた。
セイバーとの稽古を積んだ、思い出の場所だ。

男「準備は良いですか。」

凛「ええ、休息は十分よ。作戦は道中、伝えるわ」

暫くお世話になった、衛宮邸を出る。全ての守備を、アーチャーは解除していた。

魔力を決戦に注ぎこむためだ。 



263:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:11:50 ID:ck9jy5uw

凛「正面は、アーチャーに任せるわ」

男「士郎を、私と連れて行っても良いですか?」

凛「・・・わかったわ。任せたわよ」

凛「私は、裏から柳洞寺に入る。言峰の相手は、私がするわ」

凛「あいつとは、色々と因縁があるしね。私が適任だと思うわ」

士郎「ギルガメッシュが正面にいるっていう保証はあるのか?」

男「彼の性格を考えれば、確率は高いでしょう。裏にいるイメージは、あまりありません。」

男「彼は、『待つ』と言ってました。恐らく、目立つところにいるでしょう。」

士郎「そうか」

凛ですら緊張しているようにも見える。その中にあって、衛宮士郎は自然体だ。
仮に勝利したとしても、彼は回路の暴走で死亡する可能性が残されている。
にも関わらず、彼はあまりにも平穏だった。 



264:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:12:53 ID:ck9jy5uw

作戦は決まった。

柳洞寺に近づく手前で、凛に別れを言う。
これが最後の挨拶かもしれない。凛と離れるのは、これが初めてだ。

男「ご武運を、凛。」

凛「ちょっと待ちなさい」

アーチャーを呼び止める。
手に刻まれた、令呪を掲げる。

凛「令呪を持って命じる。アーチャー、全力でギルガメッシュに挑みなさい。」

凛「重ねて命じる。必ず、勝ちなさい。負けるなんて、許さないんだから。」

凛が微笑む。令呪をすべて失った。
もはや、二人はサーヴァントでもマスターでもない。 



265:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:14:05 ID:ck9jy5uw

凛が、短いスカートの端をつまんで、深い礼をする。
いわゆる、最敬礼というものだ。

凛「数々の御無礼、お詫びの言葉もございません」

凛「武運長久を、お祈り申し上げます」

男「堅苦しいのはやめてくれないか、後生だから。」

アーチャーが苦笑する。
親しい人に恭しい態度をとられるのは、苦手なのだ。

凛「じゃあ、そうさせていただくわね」

凛「士郎を頼んだわよ、アーチャー。貴方との聖杯戦争は、なかなか楽しかったわ」

男「私もですよ、凛。」

男『貴方の無事を、お祈りしております。』

儀式は済んだ。凛が別の道を進む。彼女が、後ろを振り返ることはない。 



266:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:15:24 ID:ck9jy5uw

士郎「じゃあ、行くか」

男「ええ」

正面の石段を昇っていく。
静謐だった空間は、いまや、禍々しい気に覆われていた。
近づくにつれ、どんどん濃くなっていく。

石段を登り終える。
境内の空が、赤く染まっている。

足を踏み入れると――――

一人の英霊が出迎えた。

ギル「逃げなかった蛮勇は褒めてやろう」

ギル「セイバーが、自らの願いを捨ててまで救った男だ。よもや、つまらぬ願いをほざくのではあるまいな」

どうやら、聖杯にかける望みについて聞かれているらしい。 



267:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:17:25 ID:ck9jy5uw

男「貴方ほどの英霊なら、あれの本質はもう分かっているでしょう。」

男「あれは災厄に過ぎない。私に望みがあるとすれば、あれを滅ぼすことだけです。」

ギル「やはり――― つまらぬ男よ」

ギル「我がこの聖杯を見極めていないとでも思ったか」

ギル「我がこの世界で受肉を果たしてして10年が経つ。その間、様々なものを見てきたが――」

ギル「やはり、醜悪なる人間が多すぎる。惰弱な雑種がいくら増えても、仕方あるまい」

ギル「我は、聖杯でもって、人類を間引きしようと思う」

ギル「この程度の災厄で消えるようであれば、最初から必要ないだろうよ」

男「ほう。彼らが築き上げた、この文明を不要と言いますか。」

男「その人間に価値を見いだせるか否か、それこそが己の力量でしょう。」

男「私には、彼らが必要のない存在とは思えませんね。惰弱とも思いません。」

男「存在するのならば、全てを包含するぐらいの懐の深さがなければ、到底王は務まりません。」

男「そうでしょう。英雄王、ギルガメッシュ?」

男「ああ、王には荷が重いかもしれませんね。私はこれでも、王よりは偉いですよ。」 



268:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:18:33 ID:ck9jy5uw

ギル「その口で我が名を言うな、雑種」

ギル「神代の王と、力なき王を比べるとは、おこがましい奴よ」

ギル「我は、未来を見定めてやろうと決意していたが――― これだけ醜悪であれば、もはや我慢ならぬ」

ギル「我の手で直接裁いても良いが、その価値すら無かろうよ」

男「貴方は、裁く。私は、育む。」

男「これでは、私と貴方が相容れないのも、致し方無いでしょう。」

男「紹介しましょう。彼は、セイバーのマスターです。貴方には、復讐を誓っています――」

男「どうです。相手してやっていただけませんか。」

ギル「ほう。セイバーのマスターとな」

ギル「許す。存分に足掻くと良い」

ギル「ただし、そこの僭越王よ。貴様にだけは、慢心はせぬ」

ギル「我が全力で持って、潰す。我が名をみだりに口にすればどうなるか、世に理を示してやろう」 



269:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:19:06 ID:ck9jy5uw

男「では、お言葉に甘えましょう。」

アーチャーが、士郎の身体に触れる。
「同調―――、開始」<トレース・オン>
それはどちらが発した言葉だっただろうか。

ギルガメッシュの眉がピクンとはねた。
能力自体は不愉快なものだが、見世物としては――― 面白い。

アーチャーの手から、夥しい数の魔術回路が士郎に侵食する。
合うものは一時的に結合し、合わないものは戻る。

士郎の回路は27本。アーチャーと比べれば、微々たるものだ。
回路が、全てつながった。

強制的に、魔力を流す。回路を強引に開いた。

士郎「―――!」

アーチャーから、膨大な知識を授けられていく。
多くは意味不明だ。知識が流れていく。
しかし、錬鉄と創生に関する項目は、彼の理解が及んだ。

士郎「~~~~ッ!! ―――ッ! ■■■■■■■!!」

彼の魔術は、剣を作り出すことでも、再現することでもない。
あらゆる剣を包含した世界を作り出すこと。それだけだ。

自然と、詠唱が二人の口からこぼれおちた。 



270:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:20:07 ID:ck9jy5uw

「―――――体は剣で出来ている」(I am the bone of my sword.)

「―――――血潮は鉄で、魂魄は炭」(Steel is my body, and fire is my blood.)

「―――――幾度の戦場に在って不変(I have created over thousands of blades.)

 ただ一度の勝利はなく(Nothing has gained,)
 ただ一度の敗北もなし」(Everything has gone.)

「―――――担い手はここに独り」 (With stood pain to create weapons,)

「―――――剣の丘で、刀を鍛つ」(wanting of the sense of approval.)

「されど、この生涯に意味を求めん」(I have many regrets, but this is the only path.)

『その人生に、幸多からんことを。』(May you succeed.)

「この体は、きっと無限の剣で出来ていた」(My whole life will be "unlimited blade works".) 



271:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:21:23 ID:ck9jy5uw

周囲の風景が塗りつぶされる。

それは、固有結界。
心象風景が具現化したもの。

世界からの祝福を受け、ようやく成立するほど弱々しいものでありながらも―― 
確かにそれは、世界を改変した。

何もない、焦土が広がる。一面、瓦礫の海だ。

ギルガメッシュが声を上げる。

ギル「ほう。これは、我が宝物庫にはないものだが、」

ギル「贋作を製作する結界とは―― つくづく、不愉快な奴よ」

士郎は、声をかけられても反応しない。
呆然と立ち尽くしている。
強制的に、起動させたのだ。廃人になっても、おかしくはない。

男「士郎?」

士郎「俺なら、大丈夫だ。今なら、幾らでも刀を出せそうだ」

男「・・・わかりました。」

男「ギルガメッシュ。偽物ついでに、もう一つお見せしましょう。」 



272:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:22:38 ID:ck9jy5uw

アーチャーのそばから、一人、また一人と英霊が召喚される。
詠唱と共に、召喚が加速していく。

周囲は莫大な数の英霊で、埋まりつつある。

男『彼らは、偽りの英霊。世界に悪を成したと蔑まれた、我々の誇りだ。』

男『たとえ、世界が見捨てようとも、私は見捨てぬ。私は守る。私は救う。』

男『掲げた正義が偽りであり、守ろうとした物は幻影であり、その果てに全てを失っても』

男『彼らの捧げた命、彼らの掲げた正義、彼らが救おうとした信念は――――』

男『――――否定しようがない真実なのだ。勇敢なる独立義勇軍よ!!』

男『これこそが、「輝かしき大日本帝国」<日出づる我らが祖国>である!!』 



273:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:23:31 ID:ck9jy5uw

アーチャーの周りに、一万は下らない兵が展開された。
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
固有結界を、埋め尽くす。

ギルガメッシュは、奥へと距離を取った。

士郎が、刀を瞬時に投影した。全員に武器が行き渡る。
投影した刀は、アーチャーが見てきた日本刀だ。

男「我々の正義を示す時が来た!」

男「打ち倒すべきはものは目の前だ。遮るものはない。全軍・・・」

男『突撃せよ!!』

瓦礫が舞い上がる。一万は、彼が理論上展開できる数の1/200程度。
しかし、これが今の彼の限界だ。 



274:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:25:55 ID:ck9jy5uw

靖国に祀られた、英霊たち。
本来、サーヴァントになるほどの霊格を持ち合わせていない彼らを、英霊として現界させる。
それが、「輝かしき大日本帝国」の全てであった。

偽りの宝具で武装された万の軍勢が、ギルガメッシュへと向かう。

建物が爆破され続けるような轟音を上げて、彼らは突き進む。

それを見て、なお落ち着き払っている英雄王の姿は、一層不気味であった。 



275:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:27:32 ID:ck9jy5uw

ギル「贋作や偽造は本来憎むべきであろうが、ここまで数を揃えられれば、壮観ではあるな」

ギル「認めよう。やはり、貴様は我が全力を持って迎え撃つに相応しい相手だ」

ギル「我が宝物庫の鍵を開いてやろう!!」

ギルガメッシュが、鍵のような形状の物を取り出す。
それを展開する。紅の文様が、固有結界の天井にまで達すると――

彼の手元に、棒状のものが浮かんでいた。

士郎には、それが何であるかすらわからなかった。
アーチャーは、それこそが、彼の持つ最大の切り札であると確信している。

そして、それに勝ち目がないということも。

男「・・・申し訳ありません。力、及ばないようです。」 



276:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:28:07 ID:ck9jy5uw

ギルガメッシュが、剣を手に取る。
剣が回転する。この世の全てを引き裂く、神の作りし剣。剣という概念以前の剣。

ギル「偽りの剣に、偽りの英霊。並のサーヴァントであれば通用したであろう!!」

ギル「しかし、それらは真に敗れるのが世の道理。天の理である。」

ギル「我が自ら理を示すのだ。拝して知るが良い、雑種共!!!」

ギル「天地乖離す<エヌマ>――――――――     

   ――――――――――開闢の星<エリシュ>!!!!」 



277:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:29:13 ID:ck9jy5uw

乖離剣が、世界を割った。暴風が吹きすさぶ。
万の軍勢が、原初の地獄に吸い込まれ、断末魔の叫びを上げる。

士郎「がああああああああああああああああああああああああああああっ」

自らの固有結界を破壊された士郎の体から、血が吹き出す。
見た目以上に、中身は破壊されているはずだ。

強制的に引き出した上に、強制的に破壊されたのだ。無事であるはずがない。

乖離剣が、その役割を存分に果たす。
固有結界を破壊し、軍勢を虚無へと返し、衛宮士郎を瀕死に追いやり――

結界が消滅する。
禍々しい気で覆われた柳洞寺に、再び還った。 



278:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:29:43 ID:ck9jy5uw

******************************

凛「何なのよ、あれは・・・」

凛が聖杯と思しき、肉の塊を見つめる。
塊の大きさは、泥に埋もれてよく分からない。

一人の男が出迎えた。予定通りだ。

言峰「久しぶりだな、凛」

凛「言峰綺礼・・・!」

凛「あんたが聖杯戦争の黒幕だなんて、思いもしなかったわ」

凛「どういうつもりで参戦したのかしら」

言峰「この聖杯は、一つの生命体のようなものだ」

言峰「あらゆる災厄、あらゆる呪いを受け、この世に生まれ落ちようとしている」

言峰「生まれてくる物に対して、祝福を授けるのは神父の役目だ」

凛「その聖杯が、人類を滅ぼすものだとしても?」

言峰「そうだ。生まれてくる物に、罪はない」 



279:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:31:09 ID:ck9jy5uw

言峰「罪があるとすれば、生まれてきた物に対して呪いを授けることしかできない我等人類だ」

言峰「最後の審判。その時は間近だ」

凛「そう。それが貴方の答えなのね」

凛「一体、どういう経緯でそんな馬鹿なこと思いついたか知らないけど――」

凛「その野望は、とめてあげるわ」

言峰「まあ、そう急ぐな」

言峰「器が予想外に抵抗してな。生まれてくるのには時間がかかる」

言峰「6体のサーヴァントを取り入れてなお、世界が滅んでいないのはそういうことだ」

言峰「もう少し話をしても、罰は当たるまい」

凛が無言で宝石を取り出す。
言峰の全盛期は、当に過ぎ去っている。
しかし、それは彼の戦闘力を侮って良いという証左にならない。 



280:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:31:45 ID:ck9jy5uw

凛「先に行かせてもらうわ・・・!」

凛が宝石を投げつけた。言峰の周囲で、爆発が起きる。
爆炎に紛れて、突っ込む。

神父が悠々と受けて立つ。凛に太極拳を教えたのは、言峰だった。
互いに、手の内は知り尽くしている。

言峰「強くなったな、凛」

言峰「10年前。私がまだ十分に若かった頃だが――」

言峰「私は聖杯戦争に参戦し、自らの欲望が何たるか、聖杯の答えを求めた」

凛が肉体を強化する。言峰は令呪の魔力を用いて、同様のことをした。
ひたすら掌底を打ち込む。

言峰「結果は、お前の知ってるとおりだ」

言峰「冬木の大火災。この世の災厄こそが、我が望みだ」

言峰「あれは不完全に終わったが、此度、願いは成就する。他ならぬ、聖杯の意志によってだ・・・!」 



281:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:32:18 ID:ck9jy5uw

神父の蹴りが凛を襲う。防戦を強いられる。
ガードが破られ、腹にめり込む。

凛「グフッ」

凛が横に吹き飛ぶ。これは、モロに入った。
痛みのあまり、腹の中身を全てぶちまける。もっとも、胃酸しか出てこないのだが。

口の中に苦味が広がる。

凛「げほっ、げほっ」

言峰「大人しく、そこで見ておくと良い」

言峰「喜べ、凛。お前の親では叶うことのなかった根源への到達が、此度は叶うぞ」

言峰「わが盟友が、お前のサーヴァントをもうすぐ始末してくれよう」

言峰「7つの英霊の魂を飲み込んだ、聖杯の誕生―――」

言峰「何とも愉しみではないか。ハハハハハハハハ!!」

心の底から嬉しそうに、言峰が笑う。
邪悪の化身とは、こういうことを言うのだろうか。 



282:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:34:00 ID:ck9jy5uw

最悪の災厄をもたらす人間は、常に、自らが善なることを信じて疑わないのである。

凛(正気、じゃないわ・・・)

凛の脳裏に、優しげな彼の笑顔が浮かぶ。

凛(アー・・・チャー・・・)

呼吸を整えると、再び立ち上がる。
ここで諦めては、士郎にもアーチャーにも、顔向けができない。

言峰「まだ、立ち上がる気力が残っているのか」

言峰「その気力に免じて少し教えてやろう。10年前の聖杯戦争でお前の父親を殺したのは」

言峰「私だ」

凛が絶句する。
言峰と、彼の父親の遠坂時臣は、同盟関係にあったはずだ。

凛「どう、して――――」

言峰「わが望みを知るためだ。あと、愉悦のためでもある」

言峰「父親の仇が後見人として、その娘に世話を焼いたのだ。」

言峰「真実を告げた時のお前の顔が十年間、愉しみでしか無かったが。なるほど、これは愉快だ!!!」 



283:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:34:43 ID:ck9jy5uw

凛の顔が悔しさにゆがむ。彼女は全く気が付かなかった。
自分の父親を害した男に、幼い私は全てを託していたのだ。

凛「あんたを、絶対に許さないわ」

凛「覚悟しなさい、言峰綺礼。この代償は高く付くわよ!!」

再び、二人の戦いが始まる。
命と命を削りあう時間にのみ、生きている実感を得る神父にとって――――

それは大きな悦びだった。 



284:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:36:14 ID:ck9jy5uw

士郎がひゅうひゅうとしゃっくりを上げるような音を出す。

死戦期呼吸。息を引き取る、と表現される末期の呼吸だ。

ギル「雑種。これが世の道理だ」

ギル「偽りの英霊を幾ら並べたところで、真なる力を前にしては、敗れるのみ」

ギル「お前の部下が如何に勇敢なところで、その真実は代わりはせぬ」

ギルガメッシュが、王の財宝を展開して、残兵を打ち払う。
乖離剣をもってしても、呑まれなかった兵達はそれなりの数がいたのだが――――

王の財宝<ゲート・オブ・バビロン>をもって最後の一兵まで討つ。

ギル「もうお前のお守りをしてくれる兵はない。幕を下ろす時だ」

男「そうですね。そろそろ、この聖杯戦争も終わりに致しましょう。」

アーチャーが平静に言葉を紡ぐ。 



285:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:37:03 ID:ck9jy5uw

ギル「ほう。消える覚悟は、できたということか」

男「ええ。かつて、私の国のために多くの勇敢な兵が、犠牲となりました。」

男「その数は、250万柱に近い。彼らを救うことは、私にはできません。」

ギル「愚かな男よ。それだけの数を失わねば、自らの過ちにすら気づかないとは」

ギル「偽りも、数を揃えればそれなりに真実味を増す。愚昧さここに極まったな!」

男「私はそれでも、自らを愚かとは思わない。民と共に、ただ歩んで来ただけです。」

男「ギルガメッシュ。貴方は、自らの民に暴虐を振るうことでしか、在り方を示せない哀れな王です。」

男「私は、民と共に歩んでいきます。過去も、現在も、そして未来も。」

男「この国の民が、一人残らず滅びるまで。彼らと、私の在り方を模索していきます。」

ギル「何を世迷い言を!王たるもの―― 



286:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:37:35 ID:ck9jy5uw

ギルガメッシュが言葉を切る。
この男は、なにか企んでいる。

(まずい)

ギルガメッシュの顔に、焦りが浮かぶ。
奴の何かを、決定的に見落としている。

(ちがう)

断じて見落としていたのではない。はじめから、ごく自然にそれはあった。
それは、あまりにも自然であったのだ。故に、気にも止めなかっただけだ。 



287:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:38:33 ID:ck9jy5uw





目の前の男が、最後の詠唱を開始した。







288:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:39:16 ID:ck9jy5uw

男『堪ヘ難キヲ堪ヘ―――』



これは、絶対に阻止せねばならない。 



289:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:40:08 ID:ck9jy5uw

男『忍ヒ難キヲ忍ヒ―――』



ギル「乖離剣<エア>よ!」 



290:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:40:42 ID:ck9jy5uw




右手に、彼が最も信頼する剣を取り出す。
この男に対して、少しでも隙を見せてはいけなかったのだ。





291:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:42:22 ID:ck9jy5uw




男『以テ萬世ノ爲ニ太平ヲ開カムト欲ス―――』






292:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:42:52 ID:ck9jy5uw


ギルガメッシュの乖離剣が、アーチャーの胸を貫く。
詠唱は―――  止まらない。




293:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:44:29 ID:ck9jy5uw






男『日本国に、栄光よあれ<陽はまた昇る、我等の祖国>』








294:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:46:11 ID:ck9jy5uw

乖離剣を引き抜く。
アーチャーが、胸と口から血を吹き出した。
うめき声も上げず、倒れようともしない。

この国を守護してきた者の、堂々たる姿が、そこには在った。

男「ギルガメッシュ。ここは私達の国、民が安寧に住まう土地。滅ぼすことは、許さんよ。」

アーチャーが、消滅した。
どうやら宝具は、発動の前に効力を失ったらしい。

ギル「―――聖杯は、成った。我々の勝利だ」

ギル「この国は愚か、貴様の民は一人として、残さぬと知れ!」

ギルガメッシュは、そう言葉を告げた時に、違和感に気づく。
最後の英霊が消滅したのだ。聖杯の泥は、もはや世界を覆わんとする勢いで噴き出るはずだ。

しかし、静寂が未だ境内を支配している。 



295:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:47:11 ID:ck9jy5uw

ギル「な、に―――――」

大地が鳴動する。天が割れる。
音楽のようにも聞こえる、高音の調べが鳴り響く。

それは、柳洞寺の龍脈を通して、魔力がその地に集約される音。

一条の光が、天の裂け目へと吸い込まれていく。

ギルガメッシュは光景に呑まれて気づかない。
彼の剣をもってしても切れなかった一筋の光が、天へと昇っていくことに。 



296:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:47:49 ID:ck9jy5uw

***************************************

伊勢神宮

(早く支度をせんか、お戻りになられたのじゃ)
(ええい、朝から寝ぼけておるな)
(お戻りじゃ、お戻り。祀っていた何もかもが消えておる)
(急げ、場所はあの柳洞寺じゃ)
(早くせい!遅れては末代までの恥さらしぞ)

乃木神社

(お孫さんも立派になられたようでなにより)
(我が教育の賜であれば良いのだが)
(久々に顔を見るのは、楽しみでもある)
(全員、危急の時ぞ。皇国の興廃、この一戦にある)

護国神社

(お会いするのはこれが初めてだ)
(こらお前、何めかしこんでやがる)
(男なら裸一丁で万歳突撃よ)
(てめえは服を着ろ、ここにはまともな奴はいねえのか)
(ガハハハハハ) 



297:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:50:40 ID:ck9jy5uw

***************************************

皇居

(久々に、夢を見ている)
(元気な頃の、父の姿)
(「少し借りて行くぞ。」と声をかけられる)
(「随分と年を取ったな。達者でな。」)
(ここでお別れだ。きっと、また何か守りに行くのだろう)
(父は、そういう人間だった)

???
(天ちゃんからのお願いだってさ)
(えー。面倒くさ)
(行ってあげましょうよ、少しはうちの社にも貢献してるんですから)
(仕方ないわね、力を貸してあげましょう)

とある古墳
(やれやれ、朝早くに叩き起こすとはどういう了見だ)
(なにぃ?さっさと出仕しろ?)
(もう休ませてくれよ。死んだ後まで働かせるなんてとんだブラック国家だ)
(あーあー、うるせえな。分かったよ、顔だけ出して、さっさと帰るからな)

*************************************** 



298:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:51:57 ID:ck9jy5uw

光が柳洞寺の上空に集まる。
中心点は、その遥か上空。

言峰「審判の時は来た!」

言峰が歓喜に打ち震えて叫ぶ。凛は、彼の足元でぐったりとしていた。
聖杯は、この魔力量の多さに喜んでいるように見えた。

凛が残していた宝石の幾つかが、魔力のあまりの多さに砕け散る。
その衝撃で、凛は目を覚ました。

凛(なに・・・これ・・・)

息を吸うたびに、魔力が回復していく。
それだけではない。生命力と呼ぶべきものも、回復していくようだった。 



299:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:52:51 ID:ck9jy5uw

柳洞寺の結界に支えられ、マナの密度はどんどん濃くなっていく。
ギルガメッシュがいる場所ですら、その密度は神代レベルだ。

神の時代の再現。

ギルガメッシュが天を睨み、そして吠えた。

ギル「我を天より見下すとは、不敬であるぞ!!」

ギル「地に落ち、姿を見せよ。我は全ての神を呪っておるぞ!」

ギルガメッシュは神を呪う。
神が自らの延命のために産んだ、神に限りなく近い、人間。
自らの命を吹き込んだ他は、神は彼から全てを奪うばかりだ。

彼の民を。彼の命を。彼の友を――――――

ギル「エルキドゥ!!」

鎖が天へと延びていく。
それが向かう先には。

人間に限りなく近い、神。 



300:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:53:37 ID:ck9jy5uw



白装束に身を包み、
髭は、腰まで伸びている。

右手には剣。
左手には鏡。
首元には勾玉。

現人神と畏れられた、かの大英霊。





301:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:54:31 ID:ck9jy5uw






男『これより―――  禊を始める』








302:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:55:11 ID:ck9jy5uw




そこにはギルガメッシュが憎むべき、神の姿があった。





303:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:55:55 ID:ck9jy5uw

鎖がアーチャーの体に巻き付く。強度は最大。
本来、天の鎖は神を縛るための鎖だ。

神であるならば、あらゆるものを、封じる。

この鎖があったからこそ、古代ウルクの神々は、ギルガメッシュには手を出せなかったのだ。

天より、アーチャーを引きずり落とす。

ギル「無様な姿よ。神も地に落ちたものだ!!」

男「いえ、落としてくださったことに感謝しますよ、ギルガメッシュ」

男「最後は、やはり民と共に歩みたいものですから」

たとえ地に落ちても、光が差す。
ギルガメッシュは苛立ちを隠せない。 



304:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:57:07 ID:ck9jy5uw

ギル「神が民と共に歩む?何を血迷ったことを言う」

ギル「神は奪うことしかせぬ。神は科すことしかせぬ!」

ギル「貴様のような存在は――― 全ての民にとって災いしかもたらさぬぞ!!」

男「何だかんだと言って、民を愛しているのですね。やはり、貴方は王だ。」

男「この国の神は、貴方の国の神とは違って、何もしないことが多いです。」

男「言ってみれば、妖怪の類ですか。その存在に、意味がないことが殆どだ。」

男「それでも、民は神を敬った。そこで、彼らの安寧の土地を作ったのが私の祖先です。」

男「神としても、人としても、生を受けた時から。我々は民と共に―― 在るのです。」 



305:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:57:50 ID:ck9jy5uw

ギル「もはや、貴様とは語る言葉はない。己の無力さに打ちひしがれるが良い!!」

ギル「我が友は、神を縛る鎖。現界したところで、何もできぬであろう!」

ギル「そこで大人しく、貴様の民が全て滅ぶ様を眺めると良いわ」

男「ええ、確かに今の私は無力です。」

男「しかし、この国の悪を清め、災厄を祓うは我等が最も得意とする、真の『神術』です。」

男「東の空を見なさい。太陽が、再びこの地を照らす。」

男「太陽を止めることを、貴方はできますか?ギルガメッシュよ。」

男「『陽は、また昇る。』太陽こそが、私が発した『禊』の言霊。その始発点であり、終着点です。」

ギル「おのれ・・・おのれおのれおのれおのれおのれ!!!!」

ギル「どこまでも憎らしい神よ!!冥土の土産に、我の怒りを思い知るが良い!!」 



306:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:58:34 ID:ck9jy5uw

アーチャーが、左手の鏡を掲げる。
そこに映っていたのは。

怯え、余裕を無くし、雑種と彼が蔑むべき対象となったであろう――――― 己の姿だった。

ギルガメッシュ「雑種の分際で、我が姿を映すかあああああああああああああああああああああああ!!!!」

ギルガメッシュが、乖離剣をもって、鏡を貫く。
鏡が写しだすのは、常にありのままの現実であった。 



307:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 19:59:52 ID:ck9jy5uw

ギルガメッシュ「がふっ・・・」

鏡の中の自分を貫く。それは、現実の自らを貫くと同義。

意図せずして、自らの剣で自らの命を絶つ。
その愚かな姿が、目の前に映しだされていた。

ギルガメッシュが、嗤う。

ギルガメッシュ(なんとまあ、生に執着した醜い姿よ)

知らず知らずのうちに、聖杯に汚染されていた王も――――

ここで、正気に戻った。 



308:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 20:01:02 ID:ck9jy5uw

空が明けてゆく。
太陽が、柳洞寺の境内を照らす。

集約されたマナが、爆発的に反応を開始した。

言峰「・・・!?」

言峰綺礼が倒れる。
ぽっかりと空いた胸から、泥が噴き出る。

やがて、それも収まる。
泥は、空気に溶けて消えた。

凛が、起き上がる。

凛「アーチャー、貴方の仕業なのかしら・・・?」

目の前で、大きく成長していた聖杯が溶けていく。

人間が生み出したあらゆる呪いは、浄化する神の前では無力であった。
泥は浄化されていく。

もともと、池だったのだろう。
泥がなくなると、代わりに清冷な水が溢れる。 



309:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 20:01:52 ID:ck9jy5uw

凛「慎二!?」

凛が、慎二がいるところへと、向かう。放っておけば、溺れてしまう。
彼女はなんとかして、彼を引き揚げた。
服を被せて、風邪を引かないようにしてやる。

凛「・・・アーチャー!!」

柳洞寺、その正門へと向かう。
恐らくそこで、彼は戦い続けているはずだ。

遠くで、洞穴が崩れる音が木霊した――――― 



310:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 20:02:48 ID:ck9jy5uw

**********************************

英雄王、ギルガメッシュ。

彼の体は、聖杯の泥から作られている。泥が浄化されていくため、体は端から失われていく。

彼の霊格で何とか形は保たれているが、聖杯が消失した今となっては、もはや消える運命だ。

男「神は、結局奪うことしかできませんでした。」

男「私が謝罪するのは正しいかどうかは分かりませんが。」

男「神を赦してあげてください、ギルガメッシュ。貴方の眩さは、神ですら嫉妬を覚えたのです。」

ギル「これ以上我に恥をかかすな、雑種。敗けた相手に謝罪されるなど、屈辱にも程度があろう」

ギル「しかしまあ、名前だけでも聞いてやろう」

ギル「我を打ち破った褒美だ。有難く貰っておけ」

男「では、有難く。」

男「我が名は裕仁。2600年間、この国を守り続けた者たち。その124代目に当たります。」

ギル「ヒロヒト、か。」

ギル「その名、覚えておくぞ。再び見えたときは――――」

ギル「覚悟しておけ。ハハハハハハハ!!!」 



311:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 20:03:21 ID:ck9jy5uw

ギルガメッシュが不敵に笑う。
笑い声が響いて、消えた。

凛「アーチャー!!」

凛「貴方、アーチャーなの!?その姿は一体・・・」

男「おはよう、凛。」

凛「おはよう・・・って何普通に挨拶してるのよ!?」

凛「ギルガメッシュはどうなったの。士郎は?それに、貴方の格好・・・」

男「質問が多いですね。」

男「単純なことです。貴方が聖杯戦争の勝利者です、凛。おめでとう。」

凛がポカンと口を開ける。

奥から、うめき声がした。

士郎「うう・・・」

凛「士郎!?」

凛が士郎へと駆け寄る。
全身状態を確認して、彼が無事であることに胸をなでおろした。 



312:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 20:04:02 ID:ck9jy5uw

男「さて、そろそろ時間です。私の核となっている私は、間も無く消失します。」

男「核を失えば、私も長くは留まれません。」

男「聖杯は破壊してしまいましたが――― これで良かったでしょう?凛。」

凛がアーチャーの方を向く。
その双眸には、力強い意志が宿っている。

凛「ええ、構わないわ」

凛「アーチャー。何か、私達に言うことはないかしら?聖杯に代わって、願いを聞いてあげるわよ」

男「ふふ。では、二つほど」

男「自分の人生をしっかりと歩んでいくことが一つ。自分の未来は、自分で決めてください。」

男「自分の意思をきちんと表明していくことが一つ。自分の考えは、自分で伝えてください。」

凛「あら、随分と簡単なお願いね」

男「それならば安心です。意外と、難しいですから。」

男「ああ。とうとうフグを食べることも、沖縄に行くこともできませんでしたね。」

凛がクスリと笑う。 



313:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 20:04:53 ID:ck9jy5uw

凛「それぐらいは、自分で頑張りなさい」

男「ええ。そうするとしましょう。」

士郎「アーチャー!」

士郎が叫ぶ。

士郎「最後に会わせてくれて、ありがとう」

男「礼を言うなら、彼女に言いなさい。言葉はきっと、届きますから。」

アーチャーの体が薄くなっていく。
朝日に溶けていくその姿は、凛の目には美しく映った。

凛「さようなら。アーチャー!良い旅路を!!」

男「さようなら。凛。」

男『貴方と貴方の御友人に幸多からんことを!!』

アーチャーが完全に消えた。
こうして、第五次聖杯戦争は終わる。

そしてこれが、最後の聖杯戦争となったことを、凛は後日知ることとなる。 



314:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 20:05:41 ID:ck9jy5uw

凛「行きましょう、士郎」

士郎「ああ」

凛「慎二も、忘れずにね」

士郎「じゃあ、慎二も連れて俺の家に帰ろう」

二人は、太陽に向かって歩き始めた。

暖かな日差しが、二人の未来を照らしだす―――

********************************

やすらけき 世を祈りしも いまだならず

くやしくもあるか きざしみゆれど

******************************** 



315:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 20:06:42 ID:ck9jy5uw

<ステータスが更新されました>

真名:裕仁
身長:165cm / 体重:58kg
出典:歴史
地域:日本
属性:秩序・善
イメージカラー:紺
特技:海洋生物研究
好きなもの:整理整頓、野生生物/ 苦手なもの:装飾華美
天敵:なし
召喚:昭和天皇実録

筋力E 耐久D 敏捷E 魔力B++ 幸運A+ 宝具A++

クラス別能力
対魔力A+
単独行動E- 



316:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 20:07:16 ID:ck9jy5uw

保有スキル
神術(偽)B++
「神」の術を再現するスキル。
時計塔が頂点の魔術とは異なる系統の魔術である。
基本的に神性に頼るため、マスターの魔力とは無関係に発揮される。
ランクB++であれば、一時的にランクA+相当の魔術に匹敵する神術を行使することができる。

弾除けの加護 B
飛び道具に対する防御スキル。
攻撃が単体の投擲タイプであるなら、あらゆる距離から通じない。
ただし、ランクBでは複数の攻撃に対しては無効となる。

護国の官軍 EX
あらかじめ地脈を確保しておくことにより、特定の範囲を"自らの国"とする。
この国内の戦闘において、彼の軍勢はAランクの「狂化」に匹敵する高い戦闘力のボーナスを獲得できる。

神術 EX
「神」の術を行使するスキル。
神としての存在が前提となるため、英霊である限り行使することは不可能。
仮に神となって行使することができれば、天地創造レベルの技が可能となる。
英霊に与える影響として、神性・カリスマ・心眼(偽)など様々なスキルを付与し、
筋力・耐久・敏捷のステータスをワンランク向上させる。

マイペース A+

マイペース。他人の忠告などを聞き入れた場合、幸運値などが激減する。
心眼も鈍る。うっかり属性が付与されたりする。
自分の考えで行動した場合、精神耐性を付与する。 



317:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 20:08:42 ID:ck9jy5uw

宝具
「輝かしき大日本帝国(日出づる我らが祖国)」
ランク:A++ 種別:召喚宝具 レンジ:1~ 最大捕捉:2500000人 由来:靖国神社の英霊

召喚の大魔術。「戦前」の昭和天皇が行使できる唯一の魔術。
靖国神社に祀られた英霊が現実世界にサーヴァントとして召喚される。
召喚される英霊は、靖国神社の神術によって一時的に格上げされた擬似英霊である。
また、奉納された兵器も再現され、宝具として武装した状態で戦闘を行うこともできる。
大日本帝国軍が主力を占め、すべての英霊には戦闘続行Eが付与されており、全滅するまで延々と攻撃を行う。
召喚の鍵は天皇が握っているが、実際に運用するのは靖国神社であるため、
魔力が必要なのは、宝具を開放する際と、絶対服従の行使たる勅令を発する時である。
また、真名解放しなくても、部分的な運用が可能である。

『日本国に、栄光よあれ<陽はまた昇る、我等の祖国>』
ランク:DまたはEX 種別:転生宝具 レンジ:0 最大捕捉:1人

転生の大神術。「戦後」の昭和天皇が行使できる宝具。
大日本帝国が滅び、日本国が再び繁栄した歴史を昇華して自身の宝具に内包した。
歴代天皇の中でも昭和天皇のみが行使できる。
宝具を任意で発動することはできず、自らが滅ぶ過程で必ず発動する。
英霊としての自身の消滅を崩御という概念に置換し、すべての神社が起点となった日本を覆う大結界形成する。
そして、条件が揃えば、英霊を核とした現人神が現実世界に召喚される。
英霊としての能力は失われるが、神としての能力が発揮される。

ランクDは、条件が揃わず、単なる一回の復活として考えた場合の格付け。
英霊としての能力(スキルや宝具など)が全て失われるため、どうしようもない宝具である。 



318:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 20:09:49 ID:ck9jy5uw

その他。

セイバー×:エクスカリバーに対する防御なし
ランサー△:互いに決定打を欠く泥仕合
エミヤ △:状況次第。遭遇戦はエミヤ有利、遭遇戦以外はエミヤ不利
ライダー×:ベルレフォーンに対する防御なし
キャスター○:キャスターの魔術では、対魔力を突破できない
アサシン○:集団戦闘に持ち込んで有利
バーサーカー×:十二の試練を突破する攻撃手段なし
ギルガメッシュ○:転生宝具が最高レベルで発動でする

ただし、マスターを狙うことを強制すれば、勝利はほぼ確定的。
しかし、その命令には絶対に服従しない。
令呪で服従させたとしても、彼の配下に殺害される。

予め考えていた設定は、以上になります。 



319:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 20:10:22 ID:ck9jy5uw

エピローグ

凛「士郎?工房の片付けは終わったかしら」

士郎「どうしてこんなに散らかってるんだ、遠坂」

士郎「工房ってのは魔術師の生命線だぞ。きちんと整理しておかないと」

凛「はいはい」

士郎「ったく。片付けだけは下手くそだよな」

凛「文句は良いから、手を動かしなさい、手を」

士郎「手伝ってあげてるのはこっちなんですけど・・・」

士郎がブツブツ文句を言う。
無理もないが、凛がそれを気にする素振りを見せない。 



320:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 20:10:54 ID:ck9jy5uw

お茶の準備をしながら、会話を続ける。

士郎「最近、桜がすごく明るくなってな。初めて会った頃とは別人みたいなんだ」

士郎「慎二のやつ、転校なんて突然だったよな。海外に行くんだってさ」

凛「へえ。あいつにしては、殊勝な心掛けなんじゃない?」

凛「私達も、いずれは海外に行くわよ」

士郎「へえ。って、俺もかよ。どこに行くんだ?」

凛「魔術協会の総本山、時計塔よ」

士郎「時計塔って言ったら、イギリスかあ」

士郎「セイバーの国であり、アーチャーの思い出の国か。一度、見てみたいな」 



321:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 20:13:26 ID:ck9jy5uw

凛「あら、思ったより乗り気じゃない」

凛「そういえば、セイバーに会えたって、どういうことだったの?」

士郎「ああ。セイバーが、最後に、その・・・ キスしただろ」

士郎「あれで、俺に魔力を送り込んでくれてたらしい」

士郎「もう駄目だ、絶対に死んだ――― って時になって、セイバーがやってきて」

士郎「夢の中で色々と話せたんだ」

士郎「目が覚めたら、体が完全に治ってた。おかしな話だろ?」

凛「ええ、おかしな話ね」 



322:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 20:14:16 ID:ck9jy5uw


凛が笑う。

お茶の準備が終わる。
二人の未来は、まだまだこれからだ。

凛「まあ、今は残り少ない学校生活を楽しみましょう。」

凛「自分の人生は、自分で歩んでいくんだから。ね?」





323:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 20:16:53 ID:ck9jy5uw

誰か書いてくれないかなー。
そうやって数年ほど待ち続けましたが、我慢の限界でした。

ぼくの考えたサーヴァントシリーズにすら、彼が登場しないとはどういう了見でしょうか。
やはり、みなさん畏れ多くてとても書けなかったのでしょうね。

あまり文章力が無く、ダラダラと続いて面白くなかったかもしれません。
文量だけは、軽いラノベぐらいになってしまいました。
最後まで読んでくださった方には、申し訳ない気持ちです。

登場人物と設定には、それなりに魅力があったと勝手に思っているので、
僕より良い物を書いてくれる人を、また待ち続けようと思います。

話は以上になります。駄文失礼しました。 


324 :以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 20:22:53 ID:IhdfcXpE

いや面白かった 


325 :以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 21:00:01 ID:tiOOr.w.
乙よく出来た話だすごい 


326 :以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 21:07:36 ID:z3nucn6.
お疲れ様ー
凛はいつくらいにアーチャーが昭和帝だって気付いたんだろう
気付いて慌てふためく凛も見たかった 


327 :以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 21:34:37 ID:r9L.LATU
想像以上に綺麗にまとまったね
とてもいい作品だと思った 


328 :以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 21:36:16 ID:J6K6zGGo

いいものを読めた 


329 :以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/10(土) 22:42:32 ID:Xg7IQJ8g
アレンジがいい感じだった
乙乙 


330 :以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/11(日) 07:35:08 ID:DFdoYZtA

非常に面白かった
設定や能力をこういう風に昇華できるのはすごいな 


331 :以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/11(日) 13:03:28 ID:AvtKISRI
面白かった!乙 


332 :以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/11(日) 22:20:09 ID:wPaqEcwg
乙乙 


333 :以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/12(月) 02:17:00 ID:1jppPrX6

名作をリアルタイムで追えて満足 


334 :以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/12(月) 12:24:55 ID:SmG8OZ4g
もう、読む人間もいないと思うので、この物語を本当の意味で終わらせようと思います。

このルートの想定は「凛がエミヤを呼び出せず、結果として日本が滅ぶ」という設定です。

本来、凛は士郎を彼女のペンダントで救うことで、エミヤを召喚することができました。
しかし、士郎を助けたのはアーチャーであり、凛のペンダントではないという所から、運命が捻じ曲がりました。
時系列も因果関係も滅茶苦茶ですが、英霊の座はそれらの概念が薄いので、
「凛がエミヤをペンダントで呼び出すことができない」という一点で、エミヤを召喚することができません。
代わりに呼び出されたのが、日本の守護者である「アーチャー」という設定です。
東洋系サーヴァントを呼び出すことができた理由は、これになります。
「日本の滅亡を防ぐ」というのが聖杯戦争にかける願いであり、聖杯にはこれを願っていません。

アーチャーが呼び出した英霊達ですが、坂本龍馬、北白川宮能久親王、栗林中将、インドネシア独立義勇軍です。
時系列に並んでいますが、これは一つの制約みたいなものです。
坂本龍馬は、最後は志半ば(?)で無残な死を遂げました。抵抗らしい痕跡がなく、武士として無念の死を遂げたのではないかと想定しています。
今回は、アサシンとの一騎打ちで堂々と敗れました。
北白川宮能久親王は、台湾で戦没した皇族の御方です。日本に帰してあげようというアーチャーの心遣いでしょうか。
栗林中将と硫黄島守備軍は有名だと思います。遺骨すら帰らない方も大勢いました。これも、同上の理由です。
インドネシア独立義勇軍は、終戦直後の日本を悩ませた存在です。個人の正義と国家の正義が対立したことを、認めています。 



335 :以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/12(月) 12:26:15 ID:SmG8OZ4g
セイバーとの対話ですが、これは上手く書くことができませんでした。ひとえに、文章力の無さだと思います。
イギリスという民主主義国家の君主制を、彼が如何に尊敬していたか、それを表現しようとしました。
ギルガメシュの神に対する彼の怒りと、アーチャーの神に対する考えは、一神教と多神教の対立です。
日本という国を捉える上で、神が果たしてきた役割の違いは、日本人の精神性に現れているのではないかと考えました。

陛下は、自らの政治利用を嫌いました。
その意思に反して、陛下を通して自分の考えを綴り、物語という形にしたことは、非常に反省しております。
たとえ、読者の少ない場末の二次創作であっても、断固として書くべきでは無かったと思います。
書くべきでは無かったのですが、書き始めると書ききらなくてはならず、書ききると投稿したくなりました。
陛下は許してくださるでしょうか。間も無く、伺えることになるとは思いますが。

これが私の初SSです。もう二度と書くことは無いと思います。駄文、失礼しました。 



336 :以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/12(月) 21:23:37 ID:dVx14vVY
そんなこたなかったぞ
何より面白かったから乙 


337 :以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/12(月) 21:32:10 ID:f5Bw5yk.
懐かしい方とお会いした気になりますwここでは眼鏡は掛けていらしたのかなあ。

元号が変わるまで少しだけ一緒の時代を生きた自分は、陛下がもう教科書の中の人
なんだという実感があまりなく。今もどこかで「あ、そう」と仰りながら
お元気にお過ごしなんじゃないかという感覚で。そうか、もう過去の人扱いなんだなあ
と少し寂しくもあり。

機会があったら今の高校生が使ってる日本史の教科書みてみようかな 


338 :以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/13(火) 09:13:57 ID:BlXuzQ2Q
乙 


339 :以下、名無しが深夜にお送りします:2015/10/13(火) 17:23:40 ID:QOtqzEzI
乙 


340 :以下、名無しが深夜にお送りします:2015/12/02(水) 00:29:28 ID:CP67ck/6
乙です
素晴らしいssでした。
 

341 :以下、名無しが深夜にお送りします:2015/12/11(金) 15:58:20 ID:PUQ3nbKI
乙。ホントに面白かった!

ところで、素朴な疑問なんだけどなんでアーチャーなの? 


342 :以下、名無しが深夜にお送りします:2015/12/13(日) 00:04:07 ID:iHrLk43A

殆ど違和感を感じないしストーリーもキャラもしっかり練られた良SSだった

是非筆を折らずまた何処かで逢えることを楽しみにしている 


343 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/13(水) 19:17:00 ID:VBBV5m7M
本当に素晴らしかったなあ 

     


元スレ
タイトル:凛「キャスター?ハズレじゃない!」ちょびひげ「あ、そう。」
URL:http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read_archive.cgi/internet/14562/1443273891/
掲載サイト:おーぷん2ちゃんねるに投稿されたスレッドの紹介です